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改正薬事法の完全施行は土壇場で厚労省がどんでん返し--委員の不信感も募り混沌 - (page 3)

別井貴志(編集部)2009年05月03日 10時00分
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 北里大学名誉教授でこの検討会の座長を務める井村伸正氏が「なんとなく私自身はネット販売の規制に関して賛成するとか反対するとかという点に関しては、この5年にわたって議論をお伺いしているのですが、この検討会に関してはその議論に関して白紙でいようと思って努力をしてきたつもり」と前置きした上で、「今回の検討会に関する限りは、どうも報告書にまとめるというかたちに落とせないという気がいたしてまして、(中略)私はみなさん方のご意見はとにかくたくさん出てきました。1つ1つ記録が残ってます。論点も一応整理されました。とにかく、ご意見は並んでおります。だけど、どうも私はネットで医薬品を販売しようと、大々的に利便性を高めようとお考えになっている方々と、何年にもわたって安全な供給というのものを前提にして必至になって妥協しながら考えてきた委員との間には、因って立つ基盤がぜんぜん違うのではないかと認識しております」とまとめた。

 そして、「こうした意見が並べられたところで、行政のほうで何かしていただきたいと思うのですが、行政のほうはいかがでしょうか」と、検討会の事務局である厚労省に話が委ねられたところから検討会の様相が変化していった。井村座長の問いに関して厚労省の医薬食品局長が「我々も(時間的に)ぎりぎりの段階に来ていることから、いろいろ考えていることがありますので、(中略)意見を早急にまとめて、世に問いたいというようなことをやりたいと思っております」と答えた。この時点では委員も何のことだかわからなかったようだが、総務課長がその“やりたいこと”を説明したところで様相が一変した。

 厚労省によれば、大きく2つの論点について意見をまとめ、仮にそれを実施することになると2009年2月6日に公布した省令を改正しなくてはならないため、パブリックコメントの募集をかけさせてほしいと言うことだった。2つの論点とは(1)特定の漢方薬などの薬をこれまで継続して飲んでいる人が6月1日を越して、その医薬品が手に入らなくなって飲めなくなった場合にそれで本当にいいのか、(2)離島で薬局とか店舗がない場合に医薬品を入手しようとした場合に、6月1日以降いろいろな代替手段が提示されたが、その手段で本当に入手する体制が直ちに整うのか、といったことだ。場合によっては、期限付きで経過措置を設けるということも1つの案だと考えている。

 これについては、三木谷氏が「それは離島というところに限るのか。過疎地や身障者の方はどうするのか」「離島だけOKというのであれば、このプロセスには反対します」「新省令案が出てくるまでに意見を言う機会はあるのか」、足高氏が「パブリックコメントにかける省令案は我々配置薬のほうもひっくるめた改正案ということか」「経過措置をわざと誘導するようなパブリックコメントのとりかたは私は反対です。(中略)ネット販売の解禁を期待される面もあると思います。そこにつながりそうなので私は反対です」など、パブリックコメントにかける省令案の内容に疑問が集中した。

 さらに、プロセスについて厚労省は、次回の第6回検討会は5月の半ば前後を考えているが、それに先立って厚労省のほうで新しい省令案を策定し、パブリックコメントの募集をかけたうえで、次回はその省令案とパブリックコメントに寄せられた意見を議論してもらい5月中に省令を改正するかしないかといった方向性を決めたいとした。

 これには、ほとんどの委員が驚いた。厚労省は現時点では省令案の内容もまだ書き切れていないし、スケジュールもはっきり決めているわけではないと繰り返したが、特に三木谷氏は「もしね、そういう案があるんだったらね、その案を今日の頭に出してもらって議論するべきだったんじゃないですか。本当に。これ、なんかもう官僚主義のひどい話でね、最後にビーってまとめて、みんないろいろ聞いたけど俺たち(厚労省が)勝手に決めて、こうやって決めるよと。そんで、漢方と伝統薬は救うけども他については離島だけだと。って、いう議論ですよね。もうむちゃくちゃやて。いやあ、マジでマジで。なんですか、これは。あり得ないよ」と、机を何度も叩き激昂した。いわゆる“ぶち切れ”てしまった。

 そして、「だったら、最初から出して議論すればよかったじゃないですか。ふざけんなちゅう話ですよ、これ、本当に私は憤り感じました。じゃあ、いままで議論してきたのに、我々(厚労省)が勝手に決めてそれで出しちゃって、パブコメ決めて、あとは最後やってくださいねと。だったら、そんなのやんなくていいじゃん。そんなの。一応最後お墨付きもらいましたみたいな話ですよね。おかしいわ、そんなん」と声を震わせて続けた。そしてこの矛先は、「あんたもぐるなんじゃないの」と、井村座長にまでおよぶ場面もあった。

 憤りを見せたのは三木谷氏だけではない。増山氏も「ある程度いま省令案というのはお持ちなのではないでしょうか。省令案がなければ、どんな風にパブコメしたらいいか出てこないと思うので、今日はもう時間が無いのでしょうがないと思いますが、私としてはどういう風に思っているのかというのを述べていただかないと、ただ皆さんの議論をお聞きしましたと、あとはこちら(厚労省)にまかせてほしいと言われても、そこは受け止めきれないんですけれども」といい、足高氏は「大臣がおっしゃって、集まって、薬がちゃんとデリバリーできるのか、安全に供給できるのか、おまえら考えろと、大臣がおっしゃってから始めたわけですから、そこを関係なしに事務方で書いたものを出されるなら我々(検討委員)はいらないということになりますよ。これは。だから、やっぱりそのペーパー(パブリックコメントに出す案)の原案がでてきて、そこで首を縦に振る人が多いような状況でなきゃ、それはまずいんじゃないですか。じゃなきゃ、いったい大臣に言われて集まってここでいったい何をやっているんだとなる」と述べた。

 厚労省に対してこのように怒りや不信感を募らせる話は続いたが、三木谷氏が「(検討会の)みなさん、この(パブリックコメントにかける)省令案についてどう思いますかと、それについてみなさん意見がまとまらなくても、やっぱり1回ぐらいは検討会で議論をしてから出さないと、おかしいって。絶対。そう思いませんか。(中略)こんだけやってきてね、最後意見違ってもいいですよ、たぶん割れるかもしれない。でも、そこも含めてね、じゃあパブリックコメント集めるとか、そういうことになるんじゃないですか」と切り出すと、足高氏が「私はね、逆の立場やけどね、このポイントに関してはそのとおりやと……」と述べ、委員一同も笑いを交えて賛同した。

 この結果、まずは5月のできるだけ早い時期、具体的には連休明け5月11日の週で第6回検討会が開けるかどうか委員全員が調整することになった。その検討会でまずは厚労省が策定する新しい省令案を議論して、パブリックコメントをかけて、今後どうしていくかを議論することになったわけだ。厚労省としては6月1日の施行にすべてを間に合わせたいという意向を示したが、委員としては、そのプロセスによって、6月1日の施行に間に合わなかったら「そしたら、現行の省令どおり漢方薬も伝統薬も売れないし、ネット販売もできないっていうことで、しかたないんじゃないですか。正直」、「もしここが間に合わないんだったら、間に合わないで仕方がないんだと思いますよ。正直言って」(三木谷氏)との意見が出た。

 現時点(5月3日)で、まだ次回第6回の検討会の日程は決まっていない。施行まで1カ月を切った土壇場での改正薬事法問題だが、“本当に困ることになる人たち”にとってどのようになるのか、新省令案の内容はもとより、検討会がどのような方向性を導き出すのかも含めて次回は正念場を迎える。ECの未来を考える上でも、次回の検討会は必見だ。

*追記:5月7日に厚労省から、次回「第6回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」は5月11日に開催されることが発表された。

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