巨大なグローバル企業が、その社名を変更するということは、いかに大きな決断であったことか。しかもそれが、創業者の名前を社名から外すという、苦渋の決断であればなおさらだ。しかしそこには、社員全員が一丸となり、世界規模の企業として生き残っていくための決意が隠されていた。
本書がドキュメンタリーとして面白いのは、単に「松下電器産業株式会社」が「パナソニック株式会社」に変わった、という事実だけでなく、そこに関わった人々のドラマにまで踏み込んで書かれているからだ。
企業は経営者だけで成り立つわけではなく、全世界の全社員によって支えられている。その社員たちの気持ちが一つになれば、創業者である松下幸之助氏の「衆知を集めた全員経営」という経営理念が、昔と変わらずに実現できる。そのためにも、社名の変更が必要であったという。
今まで「マツシタ」に勤めていると言っても、すぐには分かってもらえないことがあったが、社名が変わったことで、「パナソニック」だと言えば「それはすごい」という反応をすぐにもらえる。それだけで、社員のモチベーションアップに良い影響があるのだそうだ。
加えて、常に人々に必要とされる製品を作るために、努力を惜しまない姿勢は、未開拓の海外市場でも実を結び始めている。世界的な経済低迷のときでも、未来を見つめて着実に足元を固め始めたパナソニックが、今後どのようなドラマを見せてくれるのか期待がふくらむ。
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