米IBMは、Sun Microsystemsの買収を間近に控えたOracleに対して、攻勢に出ようとしている。
The Wall Street Journalによると、IBMは米国時間4月22日、ハイエンドのサーバとメインフレームの分野において、SunとHewlett-Packardの顧客を直近の四半期だけで100社獲得したと発表したという。そして、このうちの半分はそれぞれ100万ドルを超える契約であったという。
しかし、より大きなニュースは、IBMがEnterpriseDBとの提携を強化し、オープンソースのPostgreSQLデータベースの有償サポートを行っているEnterpriseDBの「Postgres Plus Advanced Server」テクノロジを「DB2 9.7」データベース製品に取り込むということだろう。EnterpriseDBのテクノロジは、基本的にOracleデータベース向けに記述されているアプリケーションをEnterpriseDBのPostgreSQL上で、そして今後はIBMのDB2上で実行できるようにするというものである。
つまりIBMは、EnterpriseDBとの今回の提携を通じて、OracleからDB2への移行を容易なもの(スムーズに、問題なく、気軽に行えるもの)にできるようになったということである。
このことは当然、IBMと協力する機会を手にしたEnterpriseDBにとって大きなニュースであるものの、OracleからDB2への移行を容易なものにできるIBMにとっても大きなニュースである。
今回提携したといっても、もちろん両社は以前から協力関係にある。IBMはEnterpriseDBに出資しており、以前からオープンソースのデータベース市場の動向を注視してきている。しかし、両社が協力してOracleに立ち向かうのは今回が初めてである。
激しい戦いが予想される。
筆者がEnterpriseDBの最高経営責任者(CEO)であるEd Boyajian氏に対して、今回の提携がOracleに及ぼす影響と、Oracleの(Sun買収による)MySQLの獲得について尋ねたところ、以下のような答えが返ってきた。
IBMとEnterpriseDBは、顧客が自らのデータベースソリューションを選択する際に、クローズドソースの決断(DB2対Oracle)を下すのか、オープンソースの決断(MySQL対Postgres Plus)を下すのかにかかわらず、その選択の権利を守るという共通の目的を持っている。Oracleの動きは、顧客のこういった選択を制限するものであり、これに対してわれわれの意図はそれを奨励するものである。
OracleがSunの買収後にMySQLを葬り去るかどうかはまだ判らないものの、データベース市場がより興味深いものとなったということは確実に言える。IBMのデータベースソフトウェア担当バイスプレジデントであるArvind Krishna氏は声明において「顧客はそのビジネスアプリケーションのパフォーマンスや信頼性を改善しつつコストを下げるために、DB2の利点により目を向けるようになってきている」と述べている。
このことは今まででも正しかったかもしれない。しかし、EnterpriseDBとの提携によりDB2でOracleとの互換性を提供できるようになることで、IBMはそれを実現できる位置に付いたことになるのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果