2009年第1四半期のPC市場は、縮小してはいるものの、予想されていたほど悪い状況ではなかったことが判明した。
IDCが米国時間4月15日に発表した「Worldwide Quarterly PC Tracker」によると、第1四半期の全世界PC出荷台数は前年同期比7.1%減の6350万台だった。これは、IDCが以前に発表した8.2%減という予測値を上回る結果だ。
これはPCにとって「よい兆候だ」と、IDCのPC Tracker担当プログラムディレクター、Loren Loverde氏は言う。出荷台数が予想を上回ったのは、PCの価格下落と新規購入者の世界的な増加に助けられた結果だとLoverde氏は分析している。
このような数値がよい兆候とみなされるということは、現在の不況が引き起こしている不安がそれだけ根深いことを示している。不安定な状態が続く世界経済、それに伴う失業率の上昇、さらに企業がテクノロジ関連の支出を控えているという状況を考えればなおさらだ。
だが、テクノロジ企業にとって状況が好転する可能性を示す兆候はこれだけではない。Intelの最高経営責任者(CEO)、Paul Otellini氏は14日、同社の第1四半期決算会見の席上で、PC市場に対して驚くほど楽観的な見方を示し、以下のように語った。「われわれの考えでは、PCの売り上げは第1四半期に底を打っており、業界は通常の季節変動パターンに戻ってきている。(中略)在庫調整と需要レベルの修正という点から見れば、最悪の状況はすでに去ったと私は考えている」
最悪の状況が完全に過ぎ去ったわけではないかもしれない。実際、IDCは第2四半期の成長率も約8%のマイナスと予測している。だが、いくつか注目すべき要素もある。まず、消費者マインドは低いものの、こうした状況に合った低価格のPCがますます増えている点だ。ネットブックのような低価格のモバイルPCは、多くのPCメーカー、とりわけAcerやASUSTeK Computerにとっては今でも明るい材料であり、世界規模での落ち込みを食い止める役割を果たしている。
また、地域によっては、他の地域と比べて状況が好転しているところもある。PCについては飽和市場と考えられている米国では、下落率はわずか3%にとどまっている。Dellの創業者兼CEOのMichael Dell氏は3月に行った中国での講演で、世界のPC需要は「堅調だ」と述べ、米国の消費者の需要は旺盛だとするIDCの見解とも一致する意見を表明している。ただし、米国におけるPCメーカー上位5社のうち、第1四半期の出荷台数が前年同期比で減少したのはDellとAppleだけだった。しかも、Appleの落ち込みはわずか1.2%だったが、Dellの下落幅は16.2%と大幅なものだ。
IDCでクライアントおよびディスプレイ担当バイスプレジデントを務めるBob O'Donnell氏は、今回の報告書の中で「米国のPC市場は今四半期になって驚くほどの回復を見せたが、これは米国の多くの消費者が今でもノートPCを購入すべき重要な商品として見ていることによるものだ」と記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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