2008年後半のPC業界は苦しかったが、2009年はさらに悪いことになりつつある。
市場調査会社IDCが米国時間3月5日に発表した「Worldwide Quarterly PC Tracker」の最新予測によれば、世界市場におけるPCの出荷台数は2009年前半に8%減少するという。2008年第4四半期は、景気後退により大企業がPCの買い換えを遅らせたことが主な原因で1.9%の落ち込みとなった。
前途多難なスタートだが、年末までにはわずかに持ち直しがある。出荷台数は2009年後半に改善をみせ、第4四半期にはわずかながらプラス成長に転じ、通年では4.5%の減少になるとIDCは予測している。通年で3.8%の成長という、同社が2008年12月初めに予測した数字とはかなり異なる内容だ。
PC市場は回復に向かうはずだとIDCが考える理由は、買い換えサイクルが強く作用するというものだ。不安定な経済情勢の下で、企業も個人も出費を控えるかもしれないが、コンピュータはいつまでも使えるものではなく、とくにノートPCの場合、製品寿命はデスクトップPCより短くなる傾向がある。
IDCのLoren Loverde氏は、現在の経済循環は悪いが、これは好転すると断言している。「価格面での競争はいっそう激化し、さらなる企業合併もあるだろうが、PC業界は経済循環で金融業界や自動車業界と同じ道はたどらない」
ただ、気がかりなのはPCの平均販売価格の急落で、安価なノートPCやネットブックの増加がそれを先導している。Technology Business Research(TBR)が5日に発表した報告によると、Apple、Dell、Lenovo、およびHewlett-Packard(HP)が販売するPCの価格は2008年第4四半期に5%下落し、これらメーカーの売り上げは18%減少した。コンピュータの買い換えはいずれにせよ必要で、経済情勢によって落ち込んでいる出荷台数は再び上昇するとしても、販売価格は回復しそうにない。
TBRのPCアナリストEzra Gottheil氏は5日に発表された報告の中で、「米国内販売価格(ASP)の下落は構造的で持続的なものだ」と述べている。同氏によると、PC業界が立ち直るとすれば、もっとも成功を収めるのは、販売後にサービスを提供する方策を考え出して、縮小している現在の利益幅を拡大させるPCメーカーやソフトウェア企業だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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