ネット家電メーカーのCerevoが今夏にも、第1弾製品となるネット接続型のデジタルカメラ(コードネーム:Cerevoカメラ)を発売する。
製品の特徴は、電源を切っている状態でも、撮影しておいた写真がウェブに転送される点だ。たとえばネット接続機能を持ったSDカード「Eye-Fi」は、電源を入れた状態でなければ写真を転送できない。「この差が利便性に大きく影響する」と代表取締役の岩佐琢磨氏は語る。
Cerevoカメラで撮影された写真はまず、Cerevoが運営する専用ストレージに自動かつ非公開で転送される。このストレージはCerevoカメラ購入者ごとに用意され、写真置き場のほかに、オンラインでの写真加工、FlickrやTwitterなど外部ウェブサービスへの転送などの機能を持つ。携帯電話やiPhoneからもアクセスできる。
「写真を撮影したあと、カメラを鞄に入れたままでも、自宅に帰れば写真がウェブに転送される。そうすると、次の日にどこからでも、いつでも、『あ、友達に昨日の写真を送らなきゃ』と思った瞬間に携帯電話からピピっと送れる」(岩佐氏)
外出先のちょっとした空き時間に、前日に撮影した写真を見たり、友人に送ったりするのは意外と難しい。カメラから写真を取り出さないまま、自宅に忘れてきてしまっているケースもあるし、もしカメラを持っていてもPCがなければウェブにアップロードすることも、メールに添付することもできない。
「Cerevoカメラならば、そういったことが絶対に起きない」と岩佐氏は言う。Cerevoカメラには、もう1つの重要な機能「メール通知」があるからだ。「旅行に行って、誰かが写真を撮って、『今度この写真、送ってね』『わかったよ』と帰るけど、家に帰ったら忘れてしまう。“今度”はついにやってこない。我々が解決したいのは、こういうケース。メール通知があれば、次の日に、『君が昨日撮った写真はここに置いておいたよ』と教えてくれる」。
Cerevoカメラが自動でウェブに写真を転送し、さらにCerevoのストレージが自動で写真のURLをPCや携帯電話、iPhoneにメールで送る。
利用者はメールを見たついでに写真を確認できるだけでなく、そのまま友人に転送したり、Flickrにアップロードしたり、Twitterに写真入りでつぶやいたり、ブログに投稿したりできる。
「この使い方ならEye-Fiとはかぶらないでしょう。やはり専用ストレージの有無と、電源を入れなくていいというところの差は大きい」(岩佐氏)
とはいえ、この便利さを理解できる人とできない人は、はっきりと分かれる。発売当初は、ガジェット好きな人にフォーカスしていくという。「まずはブロガーさんたちにたくさん使っていただいて、『ブログ更新するならこのデジカメが一番いいじゃん』みたいな話をきっちり作っていただいた上で、もっと一般的な人に波及すればいいかなと考えている」(岩佐氏)
Cerevoのストレージは原則的に、Cerevoカメラの購入者のみが利用できるようにする予定だが、カメラ発売前に試用できる機会をユーザーに与え、カメラと組み合わせたときの便利さを実感してもらい、購入につなげることも検討しているという。
販売は今夏、ウェブのみで開始する。「小ロットで出てくるおもしろい製品はウェブで買う、という形に徐々になってきていると直感的に感じる。Eye-Fiしかり、Chumbyしかり、Pokenしかり。ああいうおもしろい、ちょっとクールなガジェットはネットでしか買えないというイメージが、本当にイノベーター層のなかだけとはいえ、できあがってきているので、それが醸成されれば」(岩佐氏)
価格は未定だが、2万円前後くらいを想定しているという。
Cerevoは1月にイノーヴァ1号投資事業有限責任組合、ECナビ、クロノスファンド、ピー・アンド・エー、個人投資家を引き受け先とした第三者割当増資を実施し、資本金7480万円、資本準備金6480万円となっている。Cerevoカメラが「数万台の前半くらい売れれば十分ペイする」という。
資本金が数千万のベンチャーがどうやって家電を作るのか。鍵となるのは、自社工場を持たない「ファブレス」というビジネスモデルだ。大手メーカーでなくても独自性のあるハードウェアを開発する方法を、岩佐氏に聞いた。
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