テレビ広告の指標やフォーマット、ノウハウはインターネットの動画広告にも生かせるか――3月18日から19日まで、米国ニューヨークで開催されたメディア関連の展示会「Media Summit New York」では、Nielsen Online、comScore、Rentrackなどのインターネット広告調査会社の担当者らが出席し、インターネットの動画広告について議論した。
Nielsen OnlineのVice PresidentであるJon Gibs氏は「今、注目しているのはテレビ視聴行動とインターネット動画視聴の関連性だ。テレビでのCM飛ばしという消費者行動は、インターネット上でも現れるのか、など興味深いテーマがたくさんある」と語る。
最初のテーマは、インターネットはテレビ視聴時間を減少させるのか、という問いだ。米国では、テレビの視聴時間は増加している。米調査会社のNielsenによれば、米国のテレビ平均視聴時間は月間142時間で、前年より5時間伸びている。一方、インターネットの平均利用時間は27時間で、前年より2時間伸びたに過ぎない。
comScoreの部門責任者であるAnthony Psacharopoulos氏は、「調査委託元のクライアントが一番気にするのは、『インターネットの動画配信は、テレビ視聴を減少させるのか』という点だ。この点に関して我々は、『テレビ視聴は減少しない』という結論に至っている。とくに(動画配信サイトの)Huluは動画コンテンツへの需要を増やしていると考えている」と語った。comScoreの調査によれば、Huluの2月の月間ユニークユーザーは3470万人で、1月より42%も伸びているという。
MRM WorldwideのGlobal Director of Data であるVipin Mayar氏は、「インターネット広告業界にとって重要なのは、視聴数の多さではなく、動画広告によって広告クライアントの売上がどれだけ伸びたかという点にある」と語る。また、「動画広告の指標がクライアントの売上先行指標として機能し、販売戦略をスムーズに策定、変更できるレベルにすべきである」と広告指標の重要性についても指摘した。
Psacharopoulos氏も、Mayar氏の意見に同意を示す。「インターネット広告は、データをAtomic Level(細かすぎるレベル)まで収集できる。現在の広告分析の問題点は、細かいデータに頼りすぎ、キャンペーンの目的を忘れてしまいがちな点ではないか。例えば、小売店のキャンペーン広告の場合、実際の購買額が広告効果の指標になるべきだ。しかし、多くの場合、インターネット上の数値を追うだけになっている」(Psacharopoulos氏)。さらに、comScoreの取り組みとして「広告コストに焦点を当てた広告指標を構想しているところだ。これを導入することによって、広告キャンペーンの状況が逐一把握できるようになり、目標達成への戦略策定が容易になる」と紹介した。
セッション出席者には、テレビ広告をモデルに指標を作るべきだと考えている人が多くいた。たとえば、MindshareのSenior PartnerであるDebbie Solomon氏は、「インターネット上の動画配信には、広告フォーマットがたくさんありすぎる。テレビの15秒スポットのように誰もが理解できるレベルの指標を誰かが構築する必要がある」と語る。
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