しかしその一方で、現状のバラバラなフォーマットが、テレビCMに慣れた消費者にとって、インターネット動画の広告をスキップしづらくしている面を指摘する出席者もいた。
Solomon氏が、「広告フォーマットがバラバラなおかげで、視聴者がどこに広告が入るかわからず、広告飛ばしが難しくなる面もある」と指摘すると、ビデオオンデマンド(VOD)やケーブルテレビの視聴動向を調査するRentrakのChief Strategy Officer、Ken Papagan氏は、「まさにVOD市場で起きていることがそれだ。VODでは違う長さの広告が存在しており、消費者はどこから本編が始まるか感覚的にわかりづらい。だから、視聴者は広告を飛ばせない。通常より短い広告も有効だ。そういった短すぎる広告は、飛ばそうと早送りをすると本編の途中まで飛ばされてしまう。本編を最初から視聴するには、広告を見ざるを得ない」という実状を明らかにした。
動画広告ビジネスのもう1つの課題に、視聴行動がテレビ以上に多様化していることが挙げられる。Gibs氏は、「視聴行動は、コンテンツの種類によって『タイムシフター(時間をずらして見る)』と『アドスキッパー(広告を飛ばして見る)』の2通りに分かれる。連続ドラマなどはタイムシフトして視聴するコンテンツであり、ニュース、天気などは広告を飛ばして見るタイプのコンテンツだ。広告内容もコンテンツによって変える必要がある」と語った。
また、広告調査の方法にも気をつける必要があるという。Starcom USAのVice PresidentであるJohn Lowel氏は、「デジタルビデオレコーダー(DVR)を持っている消費者に、『1日にどれくらい広告を見ますか』と尋ねると、大抵『ほとんど見ない』と答える。しかし、『この広告を見たことがありますか』と尋ねると『見たことがある』と答える。つまり、消費者は広告を全く見ないわけではない」とし、質問の仕方によって回答が変わってしまう点には注意する必要があるとした。
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