独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は3月27日、2008年度に実施した「IT人材市場動向調査」の調査報告概要版第3弾を公開した。この調査は、IT人材の育成施策を検討するために、基礎情報を収集する目的で実施したもので、調査報告の概要は4回に分けて公開されている。
今回は大学3年生以上の学生600名を対象にした情報サービス産業のイメージ調査、社会人を対象にした他産業との就業満足度比較調査をまとめた。
学生を対象とした「情報サービス産業のイメージ分析調査」は、学生が情報サービス、ソフトウェア産業をどのようにとらえているかを調べた。その結果、「技術やスキルが身につく」「夢がある」という項目で、「IT・情報サービス・ソフトウェア」がトップとなった。「かっこいい」「仕事にやりがいがある」などといったイメージも比較的上位に挙がったという。
その一方、「働いている人たちが自分の仕事に誇りをもっている」という項目での評価は高くなく、「仕事がきつい」などの点においては「医療・福祉」の次に「IT・情報サービス・ソフトウェア」が挙げられた。「仕事が大変だ」という認識が、学生の間に浸透しているようだ。
また「仕事の内容がわかりにくい」という点も指摘された。このことから、業界のイメージを向上させるために、「今後、仕事の内容や仕事の誇りを積極的に伝えていくことが求められる」とIPAは分析している。
社会人を対象とした「他産業との就業満足度比較調査」では、IT関連産業が他産業に比べて仕事に対する満足度が低いことが示された。特に「他業種と比べて給与が高いと思うか」という項目で、IT関連産業は全産業中、下から2番目となった。
しかしIPAによると、IT関連産業は全産業の中で平均よりも給与水準が高いという調査結果も多いという。このことから「IT関連産業に従事する人材は、現実を実態よりもネガティブにとらえている傾向がある」(IPA)と分析している。なお、「調査報告概要版 No.4」は2009年4月上旬頃に公開される予定。2009年5月中旬には、調査報告全体が「IT人材白書2009」として出版される予定だ。
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