総務省がネットワーク系の情報投資における経済効果をシミュレーション

 総務省は3月2日、「情報化投資の加速による経済再生に向けた中間レポート」を公表した。

 これは、2009年1月から情報通信政策研究所と日本経済研究センターが共同で実施した、情報化投資の加速が経済再生に及ぼす影響に関する研究に基づいてまとめられたもの。レポートでは情報化投資の加速が、日本経済の成長率や雇用にどのような影響を与えるか、2種類のシミュレーションをした結果が中間報告としてまとめられている。

 レポートによると、2008〜2025年の潜在成長率を、(1)資本と労働による「基本モデル」、(2)資本を情報資本と非情報資本に区別した「情報資本明示モデル」、(3)情報資本のネットワーク効果を考慮した「ネットワーク効果モデル」の3種類からなる生産関数を用いて試算した。

 その結果、2010〜20年の潜在成長率の平均は、「基本モデル」で1.6%、「情報資本明示モデル」で2.4%、「ネットワーク効果モデル」で2.7%となり、情報資本を明確に意識した経済構造に移行した場合0.8ポイント、情報資本のネットワーク効果を織り込んだソフト型の経済構造に進化すれば1.1ポイント、それぞれ潜在成長率が上昇するとシュミレーションされた。

 また、世界経済が2010年度には緩やかに回復することを前提にしたベースライン、および(1)設備投資、(2)情報化投資が2010年度から上昇すると仮定した場合の2011〜2020年の各種成長率や雇用等の主要指標をそれぞれ試算。その結果、2010年代の平均成長率は、設備投資、情報化投資のいずれの場合もベースラインよりも実質、名目ともに1ポイント強上昇するとしている。

 一方、2010年代の平均潜在成長率は、設備投資の場合で1.5%、情報化投資の場合で1.9%。情報化投資がより潜在成長率を高める効果が高いことが示された。

 さらに、雇用面では設備投資よりも情報化投資のほうが就業者数が少なくなり、失業率が上昇する傾向にあるとのこと。これは情報化投資の加速で生産性が高まるぶん、必要な雇用が少なくて済むという結果となり、レポートでは余剰労働力を活かして新市場を創出すれば、一層の雇用増が期待できると提言している。

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