ネット視聴率ランキング:カテゴリーで見る放送業界の今!

溝端陽太郎(ネットレイティングス アナリスト)2009年03月02日 12時40分

 今回のコラムでは、「放送業界の今」ということで、弊社がウェブサイトの特徴をジャンルごとにカテゴライズしている情報のうち、エンターテイメントカテゴリーに属する、サブカテゴリー:TV、ラジオ、ストリーミング*1のデータをみていく。(*1カテゴリ:エンターテイメント、サブカテゴリ:TV、ラジオ、ストリーミング。Nielsen Online NetViewでの定義に基づいて分類されているカテゴリー情報より)

 2008年12月より、日本でも公共のテレビ局による本格的なVODサービスが始まった。日本放送協会(NHK)の有料VODサービス「NHKオンデマンド」で、これは放送法の改正によりNHKでも有料ネット配信が可能になったことによるものだ。(英国BBCでは既に2007年12月よりサービスが始まっている)

 民間の放送局の動きも活発だ。日本テレビでは、2005年10月にインターネット動画配信サービス「第2日本テレビ」を開始し、2008年10月にはこの動画配信サービスのリニューアルが行われた。このリニューアルで完全無料サービスに移行し、先日、この第2日本テレビが、2009年1月に単月黒字化を果たした、との報道があった。また、TBSでは、TBSオンデマンドにて無料見逃し視聴サービスのトライアルが始まり、放映中の人気番組を放送終了2日後よりパソコン向けに広告付きの無料配信を行っている。

 このように、現在NHKの他、民間含めた各放送関連会社が工夫を凝らしインターネットの有効活用を目指しており、大変興味深い分野であるといえる。

 以下対象カテゴリーでの上位6位のランキングである。

サブカテゴリ: TV、ラジオ、ストリーミング上位6位
ブランド・チャネル名利用者数(単位:千人)内容
GyaO7,086ギャオ
NHK6,930NHK
NTV6,127日本テレビ
Yahoo! TV5,374Yahoo!テレビ
Yahoo! Streaming5,119Yahoo! 動画
Fuji TV4,955フジテレビ
*nhk-ondemand.jp217NHKオンデマンド
**BBC iPlayer4,716英国BBCオンデマンドサービス
Source:Nielsen Online NetView 2009年1月 家庭と職場からのアクセス
*ドメイン「nhk-ondemand.jp」の2009年1月 家庭と職場からのアクセス
**Source:Nielsen Online NetView UK 2009年1月 家庭と職場からのアクセス

 本カテゴリーでの1位は、2005年4月にサービスが開始されたUSENが運営するブロードバンド放送サービス「GyaO」である。2009年度1月の段階で709万人が利用している。なお、このGyaOには、光回線のサービス始め、グルメ、ウェディングなどのGyaOブランドを冠したコンテンツが含まれている。

 2位はNHKで、冒頭ご紹介したNHKオンデマンドサービス含むNHKの情報サイトである。利用者は693万人で、人気コンテンツは「大河ドラマ 天地人」「NHKためしてガッテン」「スペシャルドラマ『坂の上の雲』」「NHKニュース おはよう日本『まちかど情報室』」などである。また、注目のNHKオンデマンドサービスは、22万人が利用している。(サービスの性格や開始時期が違うので単純比較はできないが、英国BBCのTV番組のオンデマンドサービス「iPlayer」は、1月現在、472万人が利用している。)

 NTVは、日本テレビ放送網株式会社が運営する日テレのホームページで、613万人が利用。テレビ番組の情報の他、冒頭ご紹介したインターネット動画配信サービス「第2日本テレビ」を含んでいる。この日テレの人気コンテンツだが季節を反映し、新年1月2日から1月3日にかけて行われた「箱根駅伝」のコンテンツがよく見られていた。動画によるハイライトや、記録速報、Google Mapを使った駅伝コース紹介など、豊富なコンテンツでユーザーを楽しませている。

 「Yahoo! TV」の利用者は、537万人。テレビの番組表コンテンツで番組表の紹介他、ユーザーの声も取り入れており、コミュニティ要素を備えた番組表である。

Yahoo! Streamingは、ビデオ配信サイト「Yahoo!動画」のことで、2003年12月にサービスが開始された。2005年12月には、ソフトバンクとヤフーが合弁事業「TVバンク」がスタートし、無料を中心とした10万本の動画コンテンツのポータルへリニューアルされた。そのYahoo! Streamingは、512万人が利用している。

 Fuji TVは、フジテレビジョンの運営サイトで496万人の視聴者が利用している。主な人気コンテンツとしては、各番組情報の他、複数のゲームが楽しめる「お台場ランド」というゲームコミュニティも人気である。番組コンテンツでは、「メイちゃんの執事」「あいのり」「赤い糸」が人気で、番組以外のコンテンツでは、アナウンサーによる「アナウンスマガジン」といったコンテンツも人気コンテンツの一つのようだ。

 次に、今紹介したカテゴリー上位6つの中で、ストリーミングを行っているサイトを比較してみる。なお、参考までに、ユーザーが生成したコンテンツを配信する共有動画サービスの代表として「YouTube」と「ニコニコ動画」を掲載する。

放送局によるストリーミングサービス(抜粋)
記号利用者数(単位:千人) 内容
ドメインnhk-ondemand.jp217NHKオンデマンド
サブドメインfod.fujitv.co.jp309フジテレビオンデマンド
サブドメインwww.dai2ntv.jp 590第2日本テレビ
チャネル**Douga GyaO5,429GyaO(動画)
チャネル**Yahoo! Streaming5,119Yahoo! 動画
ブランド**YouTube18,345 YouTube
チャネル**NICO NICO DOUGA7,472ニコニコ動画
Source:Nielsen Online NetView 2009年1月 家庭と職場からのアクセス
**Nielsen Online NetViewでの階層記号

 取り上げたストリーミングサービスでは、2005年からサービスを行っている無料でコンテンツを見ることができる動画サービス「GyaO」と「Yahoo!動画」が特出している。参考まで比較用として、ユーザーコンテンツを配信する「YouYube」と「ニコニコ動画」を取り上げてみた。

 GyaO(動画)が、543万人で男性が64%を占め若干多いようである。Yahoo! 動画は、512万人でこちらも62%が男性の視聴者だった。比較用サイトの視聴者属性も確認すると、ニコニコ動画の62%、YouTubeの60%が男性なので、これら動画関連サイトは男性の視聴者が若干女性よりも多いようだ。

 各放送局が主導しているオンデマンドサービスは、視聴者の数字を見る限りおおきな転換期はまだ迎えてないようだ。フジテレビオンデマンドが30万人、第2日本テレビが59万人であった。GyaOら無料のストリーミングサイトとの間には、まだまだ大きな乖離もあるが、各社が権利を持っているコンテンツは一級品なので、今後著作権問題をクリアーし放送コンテンツの新しい利用形態が生まれ、人気サイトになる日が待ち遠しい。

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