積極的な大手メディアのインターネット戦略を受け、今回CESで開催されたセッションでは、マス広告から行動ターゲティング広告への変革期ということを意識した議論が多かった。新たな広告指標やセグメント、コンテンツのSEO対策などについてである。
The Nielsen Companyメディア戦略部門責任者のScott L. Brown氏は、「リアルタイム視聴だけでなく、DVR(デジタルビデオレコーダー)で放送3日後までに視聴した数値も組み込んだ『C3』という広告指標も、最近は広告主の間で認められてきている」と話す。タイムシフト視聴の拡大が進んでいるためだ。例えば、あるドラマのC3数値では、通常の視聴率測定値の2倍の視聴者にリーチしたことがわかったという。
Nokiaのエンターテイメント部門マネージャーのTrevor Madigan氏は、「『視聴者』というセグメントはない。メディアが多様化した現状では、細分化された層が集まって大きなセグメントになる」と語り、コンテンツ別の細かなマーケティング戦略が必要であると指摘する。
オンデマンド配信のマーケティングで重要なのが、検索エンジンへの対応だ。しかし、Accentureデジタル・トランスフォーメーション部門責任者のDavid Wolf氏は、「コンテンツビジネスの場合、検索だけに頼るのは間違いだ。視聴者を増加させるには、コミュニティ内の口コミがいちばん効果がある」と語る。
「LOST」、「Good Mooring America」のような番組を「フランチャイズ」と呼ぶ。テレビ局が著作権を持ち、多メディア展開できるコンテンツのことだ。動画共有サイトやソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)などのオンラインメディアが成長したことで、テレビ局は放送以外のコンテンツ流通網を取り込んだメディア企業への転換を迫られている。そのため、フラインチャイズをYouTubeなどの動画共有サイトやウィジェットを利用してオンライン配信をするといったような、番組のオンラインマーケティングに積極的である。
Disney-ABCのSweeney氏も、視聴者コミュニティの重要性を語っている。インターネット視聴が本格化する今後、より視聴者同士のつながりを促進するシェアリングの仕組みなど、番組のマーケティング手法が重要になるだろう。
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