確かに、対価も許諾形態も全然違います。見逃し番組は1週間ストリーミング限定配信で、対価は放送料の数%、つまり出演料の一部として支払われます。これに対し、特選ライブラリーは長期間視聴が可能で、対価は売上の一部を還元するレベニューシェア方式です。DVD販売などに対する阻害要因も含め、許諾が下りないケースは多いですね。
売上の数%をお渡しするという包括契約です。これがなければ音源利用に応じて支払いをこなさなければならず、差し替えが必要なケースすら出てきます。過去、民放系が実施したネット配信サービスでは、契約が個別になってしまっていたことがコスト高の一因になったと聞いています。
放送の場合はそれなりの予算を組んでいるので高価な権利料にも対応できますが、ネットサービスにそこまでの予算はありません。1本300円として、1万人の方に見ていただいても売上は300万円。そのうち、著作権処理にまわせるのは60万円が限界でしょう。
将来のユーザー数として30万人程度を見込んでいますが、それでもNHKの受信契約者数に占める割合は1%。全世帯(約4800万世帯)を母数にすればそれ以下です。制作サイドからすれば「そこにコントロールされてはたまらない」という意見が大半でしょう。
テレビ放送の場合、映画のようにはじめから2次、3次利用を見込んで製作費を計上するというのは困難です。それではあまりにコストがかかりすぎるし、現在の仕組みにそぐわないでしょう。
それはしていません。報道番組の場合、もともと「売り物ではない」という意識があり、あくまでも報道だという位置づけです。ですので、クレームがついたら対応すると。これは報道の自由に則った部分であるとも思いますし、逆にネット配信によって取材が規制されると困る部分の方が大きいかと思われます。
配信権の問題があり、野球、サッカー、ゴルフなどすべてNGです。海外競技などはもってのほか。放送ではNHKが放映権を持つ番組を他局に提供する代わりに他局のものをニュースで使ったり、放映権を持つところに放送料を払って使わせてもらったりしていますが、ネット配信では難しい。なお、相撲協会とは話をして、五月場所までは実験的にニュース番組内であれば配信していいということになっています。
一般の方の映り込みへの対応やニュース映像の配信については必要性を感じることはあります。一方、タレント出演を伴う番組の場合は契約書レベルで縛りを受けるケースもあり、一概にルール策定で解決できるとも言い切れません。基本的には契約書優先ですから。いずれにせよ、権利問題は簡単ではない、ということを改めて感じています。
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