米国3位のレコード会社Warner Music Groupとビデオ共有サイトYouTubeは、Warner Musicが保有する音楽ビデオのライセンス契約の更新をめぐり交渉を進めてきたが、米国時間12月19日に交渉は決裂した。これを受け、Warnerは20日に同社のビデオをYouTubeから削除した。
現在、Universal Music Group、Sony Music、EMIを含めた米国4大レコード会社がYouTubeとライセンス契約の交渉を行っており、その中での今回の交渉決裂となった。
Warnerは声明で、「現在、(Warner Music Group所属の)アーティストらのコンテンツをYouTubeサイトに戻すための解決策をYouTubeと共に積極的に模索している最中だ」とし、さらに「それまでは、レコーディングアーテスト、作詞作曲家、レコード会社、出版社が、提供する価値に対する適切かつ公正な対価が受け取れないような条件は許容できない」と述べている。
YouTubeは、米国4大レコード会社のうち少なくとも1社の重要な収入源となっている。Universal Musicのデジタル部門でチーフを務めるRio Caraeff氏は先週CNET Newsに対し、YouTubeは2008年にUniversal Musicに対して、前年比80%増となる「数千万ドル」の収入を生み出したと語った。
Caraeff氏によると、UniversalとYouTubeは非常に強固な関係を築いており、両社は音楽ビデオ以外の分野にも提携関係を拡大しようとしているという。Universalに近い情報筋によると、同社はビデオストリーミング事業で1億ドル近い売り上げを計上する見込みで、その大半はYouTube関連の売り上げだという。
ブログAll Things Digitalは先週、たしかにレコード会社はYouTubeとの提携で利益を上げ始めているが、YouTubeはそうではないと報じている。同ブログによると、YouTubeは自社の売り上げの有無にかかわらず、ユーザーがクリップを視聴するたびにレコード会社に料金を支払う仕組みになっているという。
YouTubeとの提携解消により、Warnerはウェブで最も人気の高いビデオサイトとの関係が断たれることになる。YouTubeの訪問者は、10月に1億人を突破した。YouTubeはインターネットで最も人気のある広告付きジュークボックスの1つとなっている。YouTubeチャンネル上位10件のうち7件は音楽関連で、Warner Bros. Recordsのチャンネルは11位に付けている。
Googleは19日、同社のブログで、「容認可能な条件に達しなければ、これまで良好な関係を築いてきたパートナーとも関係を断たなければならない」とし、「例えば、Warner Music Groupが保有する楽曲を含むビデオがYouTubeで投稿、視聴できなくなる可能性もある」と述べている。
しかし、YouTubeから音楽コンテンツが消えれば、現在高まりつつある音楽サイトとしての同サイトの人気にも変化が生じる可能性がある。
YouTubeで今後ビデオが視聴できなくなるWarner所属の人気アーティストとしては、Led Zeppelin、Madonna、TI、Eric Clapton、REM、Red Hot Chili Peppers、Grateful Deadなどが挙げられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス