居場所検索、利用情報収集、かんたん機能拡張--ブラウザのさらなる進化へ、モジラの取り組み

永井美智子(編集部)2008年11月17日 23時09分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 かつてブラウザの進化は終わったと思われていた時期があった。しかし今、ブラウザはIT業界で最もホットな競争分野の1つだ。ガリバーのInternet Explorerに挑むFirefoxは、オープンソースコミュニティの力を借りて進化を続けている。

 Firefoxを開発、提供しているMozilla Foundationには、新技術を開発するMozilla Labsという部署がある。所属しているのはわずか8名だが、世界中にいるオープンソースソフト開発者とともに新たなブラウザの機能を開発しているのだ。

Aza Raskin Aza Raskin氏

 ユーザーインターフェースの専門家であるAza Raskin氏は「常に人数よりも多いプロジェクトが動いている。オープンソースだからこそできることだ」と胸を張る。Raskin氏は、AppleのMacintoshの開発に携わったJeff Raskin氏の息子でもある。

 そのMozilla Labsが現在力を入れているプロジェクトが大きく3つある。位置情報を活用する「Geode」、ブラウザの利用履歴などの情報をほかのPCや携帯電話と同期できる「Weave」、ユーザーがコマンドを打ち込むことで、さまざまなウェブサービスを簡単に利用できる「Ubiquity」だ。

GPSがなくても居場所がわかる「Geode」

 まずGeodeは、ユーザーの現在地情報を使ったサービスを利用できるようにする機能だ。対応サイトにアクセスした際、ブラウザが「このサービスは位置情報を求めています」と表示する。ユーザーは「正確な位置」「付近」「都市」「教えない」の4つから提供情報を選べる。なお、位置情報はSkyhookの「Loki」という技術により計測する。これは、無線LANの利情報を元に位置を測定するという技術で、iPhoneでも使われているという。現在は無線LANを利用している場合でないと位置が測定されないが、GPSやIPアドレスなど、さまざまな位置情報の取得方法が考えられ、「ユーザーが選べることが大切」(Raskin氏)とした。

Geode 位置情報を使うサイトにアクセスすると、写真のように表示され、ユーザーがどの程度までの情報を知らせるかを選べるようになっている(※画像をクリックすると拡大します)

 現在地付近のレストラン情報などを調べるとき以外にも、「家にいるときだけ銀行のサイトにアクセスできるようにするとか、家と職場では違うブックマークを表示するといったことが考えられる」(Raskin氏)とのこと。

 技術の標準化にも積極的といい、World Wide Web Consortium(W3C)のGeolocationワーキンググループにおいて、ブラウザが位置情報を取得する際の方法を統一し、開発者の負担にならないようにしたいとした。

diggが1週間で作れる「Weave」

 Weaveは複数のPCや携帯電話でFirefoxを使っている場合に、ブックマークや閲覧履歴、保存パスワードなどを同期するための機能だ。「どこにいても同じ形でブラウザを使えるようにしたい」(Raskin氏)

 ただし機能はこれだけにとどまらない。Raskin氏は、ウェブのサービスに利用登録するたびに個人情報を入力し、自分のデータをサービス運営者に手渡さないといけない現在の状況はおかしいと話す。「データを自分で管理できる状態になっていないことが問題だ」(Raskin氏)。そこでWeaveでは、ユーザーのブックマークやコンタクトリストなどを暗号化した上で集約し、ユーザーが許可した相手のみに利用権限を与えるようにするという。「ユーザーの情報はMozillaですら読めない形になっている。サーバをハッキングされても解読できない」(Raskin氏)

 Weaveを活用することにより、「diggのようなサービスが、1週間もあれば作れるようにしたい」(Raskin氏)という。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加