TBS、営業利益の上方修正も通期は据え置きの背景

 TBS(東京放送)は2009年3月期9月中間期の決算で、連結営業利益を従来予想の70億円から97億円へと上方修正した。しかし、2009年3月期通期の連結営業利益165億円はそのまま据え置いた。それどころか、経常利益は従来予想の185億円を180億円へ、純利益も105億円から80億円へとそれぞれ下方修正した。今下期から来期にかけての業績動向と株価推移を探った。

 同社が11月5日に発表した2009年3月期9月中間期の連結決算は、売上高1784億円(前年同期比12.3%増)、営業利益97億円(同10%減)、経常利益113億円(同9%減)となった。

 放送事業では、北京五輪、女子バレーボール、テニス、ゴルフなどスポーツの大型企画に関連してテレビ部門のタイム広告で売上高を伸ばしたものの、世界陸上大阪大会があった前年には届かなかった。この結果、9月中間期のタイム広告の売上高は630億円(前年同期比4.1%減)となった。スポット広告でも上期の売上高は433億円(同11.7%減)に止まった。

 業種別の売上高では「総合電気機器」「精密機器・事務機器」などの業種の売上高が前年同期比で上回ったものの、売上高の大きな「酒・飲料」「食品」「化粧品・トイレタリー」といった分野での落ち込みが目立った。

 テレビ視聴率については、ドラマ・バラエティのレギュラー番組の伸び悩みと、NHKが北京五輪放送などで数字を伸ばしたこともあって、ゴールデンタイム11.1%(6局中4位)、プライムタイム10.9%(同5位)など苦戦が続いた。

 映像・文化事業では、傘下に雑貨小売、通信販売、化粧品製造販売、外食・洋菓子製造販売の各子会社を擁する企業集団のスタイリングライフ・ホールディングスを第2四半期から連結子会社としたことに加え、6月公開の映画「花より男子ファイナル」が興行収入77億円の大ヒットとなって利益を大幅に伸ばした。まだ、ドラマ「ROOKIES」のDVD販売なども寄与した。

 不動産事業では、「赤坂サカス」のビジネス・ショッピング・文化など各施設の稼働により、前年同期比で売上高70億円の増加となった。この不動産部門での売上、利益の増加が、9月中間期の営業利益の上方修正に寄与した。

 下期以降については、上期同様にスタイリングライフ・ホールディングスの連結子会社化により、売上高については大幅に従来予想を上回る見込みだ。その一方で、最近の金融危機の影響波及で、自動車業界などをはじめとしてテレビ広告市況の冷え込みが一段と厳しさを増すことが予想され、利益面での下方修正を想定している。

 TBSの株価は依然として下落トレンドから抜け切れていない。先週末14日の終値は1490円と1500円を割り込んでいる。ただ、連結PBR(株価純資産倍率)は0.8倍台と割安水準となっていることは確か。ただ、赤坂サカス関連や映画、DVDなど放送外事業での収益力は強化されているものの、景気後退が長期化するようだと主力事業の広告関連収入が大きく減少する懸念もある。当面の株価は1400〜2000円のボックス相場となりそうだ。

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