個人向けPCで出荷台数の倍増は夢ではない--WDLC、設立1周年プレス説明会

坂本純子(編集部)2008年11月13日 03時25分

 WDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)は11月12日、設立から1周年を迎えプレス向けに説明会を開催した。

プレス説明会後には3回目となる総会が行われた プレス説明会後には3回目となる総会が行われた

 WDLCは、Windows PCの普及拡大を目指して、国内のPCメーカー、ハードウェアおよびソフトウェアメーカー、コンテンツ/サービスプロバイダなどが参加している組織。2007年11月の設立当初は48社だった参加企業も、現在では85社まで増えた。

 「ここまで増えるとは、正直なところ意外だった。コンテンツパートナーが多く、基本理念である業界の枠を越えた動きに賛同してもらえている」とWDLC事務局長を務めるマイクロソフトの笠原健司氏は言う。

WDLC事務局長を務めるマイクロソフトの笠原健司氏WDLC事務局長を務めるマイクロソフトの笠原健司氏

 WDLCの会長を務める、マイクロソフト代表執行役 副社長でコンシューマー&オンライン事業部担当の堂山昌司氏は、日本は個人がもっとPCを持っていいマーケットだと語る。「PCの台数出荷は減ってきているが、弱気になる必要はない。ケータイがあるからPCが売れないのではないか、ともいわれるが、そうではない。デジタル機器に携わっている人たちが消費者にそれなりの商品を出しているか?まだ出し切っていないのではないか」と語る。

 WDLCの方向性としては、「ケータイのヘビーユーザーをどうPCユーザーにもってくるか。マーケティングなどを皆で考え、使いやすくしていくことで皆がハッピーになれるのではないか。大きなゴールとしては、3年後にPCの出荷台数を倍増したい。現在のコンシューマPCにおける出荷台数は550万ぐらい。2011年には1000万台にしたい。1家に1台じゃなく、1人1台にもっていく。なにがハードウェアとして欠けているのか、またキャンペーンとして欠けているのか。考えていけばこの数字は夢ではない」とした。

 WDLCでは、今年の夏商戦に向けて、5月9日から9月中旬までPC上でTV視聴を訴求する「PC de TV」キャンペーンを開催してきた。年末商戦に向けては、旅行をテーマに日常生活でPCやサービスを活用する「PC de 旅」を9月30日から2009年3月31日まで開催する。

 PCメーカーであるNECやソニー、東芝、富士通、DELLらは、ウェブサイトでキャンペーンサイトへのバナーを掲載したり、秋冬モデルの一部にWDLCサイトに誘導するデスクトップアイコンを搭載したりするなど、各社はさまざまな形でWDLCのキャンペーンサイトへ誘導する。

 WDLCサイト内では、旅行前や旅行中、旅行後にどのようにPCやサービスを活用できるのかをムービーにした「PC de 旅ストーリー」などを公開。ユーザーにデジタル情報機器とコンテンツ・サービスを連携させた利用の利便性を訴求していきたい考えだ。

 「今あるものでも十分楽しめるという気付きを与えたい。夏のキャンペーンは、店頭に来るユーザー向けに展開してきたが、今回は店頭に行かないユーザーにも需要喚起をしたい。金もリソースもオンライン施策にフォーカスしている」と笠原氏は語る。PC de 旅では、期間中に150万UUを目指し、目標としては、150万UUの2割ぐらいを購買に結び付けたいとしている。

ヨドバシカメラ 事業本部 取締役本部長の竹下雅浩氏ヨドバシカメラ 事業本部 取締役本部長の竹下雅浩氏

 量販店らも店頭でキャンペーンと連動した取り組みは続けていく。「PCで旅という企画は、ありがたい企画」と語るのは、ヨドバシカメラ 事業本部 取締役本部長の竹下雅浩氏だ。

 「数ある取り扱い製品の中でPCは非常に大きい品目だが、それだけではない。スーツケースなど旅行関係の製品の取り扱いもある。デジタルカメラなどの周辺機器やアプリケーションを超えて、店舗全体とリンクできるのが強み」と竹下氏は話す。

 まずは秋葉原(東京)と梅田(大阪)のヨドバシカメラで、旅に欠かせないカメラとPCを組み合わせた提案をするという。具体的には、カメラ売場でパソコンの説明や販売もする。一眼レフタイプのデジタルカメラを中心に、撮った後のRAW画像の加工や編集や印刷、キャリブレーションなどさまざまな工程を実演するという。

 また、同社で年4回発行している情報誌「ザ・ポイントネットワーク」でも旅をテーマに記事をつくる。社員がヨーロッパ旅行に行くにあたり、チケットやホテルの手配、現地でのWi-Fiの活用などを記事にするという。

ビックカメラの商品本部 第一商品部 副部長の大西順也氏ビックカメラ 商品本部 第一商品部 副部長の大西順也氏

 ビックカメラの商品本部 第一商品部 副部長の大西順也氏は、「ハイエンドなモバイルPCをデジタルカメラとの連携して訴求していく。11月末から有楽町を中心として展開し、夏のキャンペーンでは基幹店舗だけだったが、可能な限り全店で広げていきたい」と語る。

 景気の冷え込みなど、厳しい年末商戦が予測されている。「PC市場ではNetbookが売れており、それもきちんと提案していくが、お客様の本当のニーズを拾いだして、従来のモバイルパソコンもいいですよと訴求していきたい。Netbookは市場を牽引する1つの要因。それに加えて既存のパソコンを訴求すればなんとか前年度並みにはいけるんじゃないか。まずは前年並みをクリアすることをベースに考えている」と大西氏は語った。

 このほかに、PCとサービスの連携として、無線LANの活用を訴求するキャンペーンも実施している。「HOTSPOT」を運営するNTTコミュニケーションズは、1週間無料で利用できる「おためしログインID」を11月30日まで配布中だ。これまでビジネスマン向けに訴求してきたが、コンシューマ向けに事業を拡大していきたい考えだ。キャンペーンに合わせ、通常はPCからのみの申し込みとなるが、今回は携帯電話からもIDの取得ができるようにしたという。

キャンペーンサイト「旅ペタ」キャンペーンサイト「旅ペタ」

 動画コンテンツ共有サイト「ウゴペタ」を運営するDOMIRUでは、キャンペーンサイト「旅ペタ」を用意し、さらに会員登録した人にBBモバイルの「公衆無線LAN無料キャンペーン」を12月末まで開催中だ。

 モバイル事業を手掛けてきたDOMIRU代表取締役の小笠原 治氏は、「経験からいって売れるサイトは、利用シーンが明確なサイト。旅ペタは旅の思い出を残す、共有するなど利用シーンが明確」と語る。3月までに1万ユーザーを目指すとしている。

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