Parmyの収益源は店舗の登録料が中心となる。店舗は初期導入費用無料、月額5000円からParmy内に店舗情報を登録できる。また、店舗情報と位置情報が連携しているため、ユーザーが店舗所在地付近の3Dイラストを閲覧している際、イラスト下部にテキスト広告を表示するといったことも可能だ。
店舗は現在グルメ、ショッピング、美容、エンターテインメントの4つのカテゴリを用意するが、将来的には病院や公共施設などまでカテゴリを拡大していく予定だ。また、百貨店や駅ビル、駅連結の地下街などの店舗情報には特に力を入れており、提携する百貨店などでは、フロアマップも提供している。
そのほか、イラスト上にキャラクターを表示し、そのキャラクターをクリックすることでParmyのサイト外コンテンツに誘導するといったプロモーション用途の利用も検討している。
現役高校生時代に大学受験に失敗した納家氏は、美容師をしていた知人を通じて、イベント企画・運営に携わっていた。当時はテレビ番組の影響などで「カリスマ美容師」ブームがまさに起ころうとしていた時期。その後、本格的にビジネスについて学ぶためカリフォルニア大学バークレー校へ進学するが、そこで日本のファッションなどが現地のアジア人に受け入れられていることを知るや、浪人時代のネットワークを元にアジア人向けの美容室を展開した。これが納家氏の最初の起業経験なのだという。
納家氏は美容室を3店舗まで拡大するも、その後売却して帰国。インキュベーション事業などを展開するドリームインキュベータに入社し、IT系ベンチャーへの投資やコンサルティングを担当する。
大学生時代に米国のベンチャーを間近で見ていた同氏が日本のベンチャーに感じたのは、「たとえ実現しなくても『世界展開したい』と語る人が少ない」という思いだったという。そして、「それならば自分が世界規模のサービスを作ろう」と思い立ち、2007年10月にLAFS(現Parmy)を起業。起業当初はモバイルサイトのコンサルティングをしつつ、Parmyの提供に向けて準備を進めていたのだという。
Parmyのサービス提供にあたって、同社がもっとも注力したのは3Dイラストの作成だ。現在提供されているアバターサービスなどでは、服の重ね着などに対応した結果、100以上のレイヤーを使っているケースもある。しかし同社の提供する街の風景イラストは「詳細な設計は公開できないが、もっと複雑。窓1つ単位でもデザインを変えられる仕様」(納家氏)だという。そのため、イラスト内の建物や看板が変わった際など、細かな変更が可能となっている。
しかしこれだけの情報が入ったイラストとなると、通常国内で作成すれば1枚数万円のコストがかかる。また、イラストは「1つの都市で数百枚必要」(納家氏)であり、そのコストは計り知れない。
そこで同社では測量技術をベースにした独自手法でデザインを起こし、海外企業も使った分業体制をとることで、コストを約10分の1に下げているのだという。納家氏はトヨタ自動車の生産管理方式を例に挙げて「このノウハウを作り上げるのに1年かかりました。イラストのかんばん方式ですね(笑)」と語る。
Parmyでは今後、機能強化や対応エリアの拡大をしつつ、年間で2万店舗との契約を目指す。
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