実際、昨年同時期までに新興市場に上場した際の企業の時価総額は73億7100万円、上場直前(IPO直近のPost-money)の時価総額が21億3000万円で、およそ3.5倍となっているのに対し、今年に上場した企業の時価総額は31億800万円、上場直前(同)が25億3700万円で、およそ1.2倍と昨年に比較して低くなっている(値はいずれも中央値)。このため、上場直前の投資では、ほとんどキャピタルゲインが望めないことが予想される。
また同調査によると、時価総額の上場直前と上場時とを比較して2倍以上になった企業は、2008年ではわずかに6社で、調査対象となっている25社全体の25%に過ぎない。一昨年に比べて大幅に上場する企業が減ったと言われた2007年の通年のデータでも、上場直前と上場時とを比較して時価総額が2倍以上となった企業は、全体の63パーセントあり、その差は歴然となっている。
もちろん、これはベンチャー企業に対する一般投資家からの不信感というよりは、金融市場全体に対する不安も織り込まれてのことだと予想できるが、上場を目指す企業にとってはよりいっそう厳しい状況が続いている。
一方で、VCがベンチャー企業に投資した総額は、増資などの純粋な投資総額は119億5700万円であるのに対し、他社からの株の譲渡などを含んだ延べ投資総額は207億7700万円であることも同調査で明らかになっている。このことから、VCの全体の投資の42パーセントが会社資金とはならず、他の株主へ流れていることを示していると、北村氏は指摘している。
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