・ユーザー中心アプローチは、市場が成熟し、消費者ニーズが個別化してきたことによって誕生した。
・ネットとの親和性が高く、ネットマーケティングのROIを高めるために今後活用されるようになる。
1960年代前半の高度経済成長期に「巨人・大鵬・卵焼き」が、一世を風靡しました。当時の子どもたちが好きなものを並べたことばです。
「カラーテレビ・クーラー・自動車」は同時代に日本中の家庭が欲しがった新三種の神器でした。当時は大人でも子供でも、欲しいものを一括りに表現することができました。
しかし、現代の日本には多種多様な製品が存在し、市場環境は大幅に複雑化しました。あるビール会社では、60年代に1つの工場では4種類の製品しか製造していませんでしたが、現在は同じ工場において20種類以上を生産しています。
この変化の理由は、空腹な状態では何でも良いので食べたいが、満たされた状態では自分の趣味趣向性が強まり個別の要求が発生するようになる消費者の「欲求の個別化」と、1980年代に経済成長を終え、市場が成熟期に入った結果、競争が厳しくなり他社との差別化を余儀なくされた企業の「競争激化による種類の増加」の2つが考えられます。
高価なプレミアムビールを求める人もいれば、糖分カットを気にする人もいる。昼間の会食などアルコールを含まないビールに対する状況への対応やそもそもビールが苦手な人にはサワーやカクテルも生産しなければならないなど、捉えなければならないニーズは限りなく広がり、企業は経済合理性の続く限り対応を続けています。
生活必需品が不足しがちで消費者の基本的欲求が満たされていない段階では、消費者全体をマスとして同一視して見ることができました。商品やサービスの開発者といえども顧客と立場が大きく異なりはしないため、唯我独尊の考え方でも、自分が欲しいものを深堀りして理解し、具現化さえできれば市場に受け入れられてきました。
しかし現代は市場が成熟し、消費者ニーズが個別化しています。自分自身がターゲットユーザーである商品・サービスの場合は苦労しませんが、そうでない場合は他者のニーズを理解することが必要になります。
企業がROI(投資利益率)を追求する上では、当たるも八卦、当たらぬも八卦といった取り組み方法から脱却しなければなりません。また、開発者個人の力量に頼らないことも、継続性を考慮すると必要になります。
そんな時代背景の中、他者を的確に理解するための方法論としてユーザー中心アプローチが誕生しました。
インターネットの普及に伴い、掲示板やブログなど誰でも情報発信ができる基盤が整いました。発信された情報は精度の高い検索エンジンを通じて適切なユーザーへ流通するようになりました。
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