インターネットさえ利用できれば、簡単に多くの情報を入手できる状況が出来上がっています。製品レビューや価格比較の代表的なサイトであるカカクコムの利用者数は、2008年7月末時点で月間2471万人にまで達し、さらに増加傾向を続けています。
この現象は、これまで情報をコントロールしてきた企業の位置づけを大きく変えることになりました。どれだけ企業が美辞麗句を尽くして宣伝しても、製品購入者が良くない点を上げ連ねれば評価は入れ替わってしまいます。
情報を統制できなくなった段階で、企業は顧客から評価される製品やサービスを提供できなければ生き残れません。情報の主導権がユーザーに移ることによって、的確な顧客理解がますます必要になります。
ユーザー中心アプローチは、製品開発だけではなくインターネット上で提供するサービスの設計でも活用できます。
店舗などの対面サービスではお客様の反応に直に触れられるため、特に明示的に意識しなくとも、より良いサービスを目指して品質は日々改善されていきます。
しかしウェブサイトは対面サービスとは異なり、ユーザーの利用を目にすることができないため、利用者が現状のサイトに満足しているのか把握することが困難です。品質改善につながる情報は、ユーザーの動向へ意識的に注意を払わなければ入手できません。ユーザーに使い方を教えることもできないため、ユーザーが何を求めてサイトを訪れ、どういった順番で何を利用をするのかを前もって想定し、対応をしておく必要があります。
また、ネットユーザーは検索エンジンを軸に複数のサイトを比較検討します。現実の店舗であれば移動にコストが掛かりますが、ネットであればたかだか数クリックのコストにしかなりません。その結果、サイト間での競争が熾烈になり、ユーザーに選ばれるサイトしかビジネス成果を創出することはできなくなります。
ユーザー中心アプローチは、アメリカのネット業界では一般的に活用されています。アメリカではネットが生活へ浸透しており、企業のマーケティング活動における重要度が高く、投資額も大きいため確実な方法論の選択が迫られているからでしょう。
日本におけるネット広告出稿額も年々上昇傾向にあり、マーケティング活動におけるネットの重要性はますます高まっています。セルフサービスチャネルであるインターネットで成功するウェブサイトを作るためには見えない移り気のユーザーを正確に捉えることが必須です。
ユーザー中心アプローチは、これからのネットマーケティングにおいてROIを高める鍵となります。今後このコラムでは、このアプローチの詳細や成功事例を紹介していく予定です。
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