マイクロソフトは9月30日、幕張メッセで開幕中のCEATEC JAPAN 2008にて「マイクロソフトの次世代コンシューマービジョン」と題した基調講演を開催した。
Windowsの新たなブランドコンセプトとして「Windows Life Without walls 壁のない世界へ」を掲げ、コンシューマー市場向けの取り組みを強化すると表明した。
マイクロソフト代表執行役 副社長でコンシューマー&オンライン事業部を担当する堂山昌司氏は、「現在のマイクロソフトは、オフィスやサーバなどを法人向けの事業のイメージがあるが、もともとは、コンシューマーから始まっている会社。しかし、コンシューマーのことを10年近く忘れてしまっていたのではないか。コンシューマーの事業に立ち戻ってみたい」と語った。
マイクロソフト コーポレートバイスプレジデントでWindowsコンシューマープロダクトマーケティングを担当するブラッドブルックス氏は、「人によってはWindows Vistaが成功したか疑問に思っている。しかし、実際には1億4000人が利用している。また、数字だけではない。人々がどういう感触を得られるか?お客様はまったく違う意見を持っている」と語り、Windows XPユーザーに現状のヒヤリングとWindows Vistaを体験した印象などをビデオで紹介した。
「Windows Vistaをどう思うか」という問いに対し、「遅いイメージがある」「難しそうなど」の意見が多数でていた。しかし、実際にWindows Vistaを見たあとは、「すごい」「簡単に使えそう」「イメージと違った」「すぐに買いに行こうかな」などと変化した様子だった。
さらに、ブラッドブルックス氏は、リリース1年目のほかのOSに比べて、Windows Vistaはセキュリティ脆弱性の数が最少であること、Internet Explorer 7(IE7)のフィッシングフィルタにより、毎週100万件のフィッシングを防止していること、Windows Vistaのユーザーは、その83%が友人や家族にこの製品を推薦したいとしていることなどをアピールした。
今回の発表では、Windows Vista Home PremiumもしくはWindows Vista Ultimateエディションに標準搭載されている、テレビや映像などが見られる機能「Windows Media Center」向けのサービスが目立った。
マイクロソフトは、スカイパーフェクト・コミュニケーションズと共同で、Windows Media Center向けの有料コンテンツ配信サービス「スカパー!Netてれび」を発表。
スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 代表取締役 執行役員社長の仁藤雅夫氏も登壇し、「簡単に番組にアクセスできるのがいいところ。4つの番組からスタートし、今後はコンテンツを増やしていく」とアピールした。
さらに、東京放送(TBS)とフジテレビジョンと協力し、地デジ対応Windows Media Center向けに「Windowsサイドバーガジェット」を9月30日より提供することを発表。Windows Vistaのガジェット(ミニアプリケーション)を使い、テレビとインターネットコンテンツを連携させるデモを公開した。
TBSのガジェットは、番組で紹介されているおすすめ商品情報が配信されるもので、“TBSショッピングishopガジェット”と呼ばれる。欲しい商品をクリックすると商品が購入できるウェブサイトにアクセスできるほか、番組が放送されていれば、アプリケーションが自動的に起動し、放送中の番組を視聴できる。9月30日より、TBSの公式サイト内の「TBSガジェット」ページから無料でダウンロード可能だ。
フジテレビジョンは、さまざまなガジェットをプッシュ配信し、気に入ったコンテンツをデスクトップやブログ上に持ち出せる新しいサービスを開始する。その第1弾コンテンツとして“フジテレビ番組表ガジェット”を披露。番組表ガジェットをクリックすると、すぐにフジテレビを視聴できるほか、今後放送される番組を登録し、放送時に知らせてくれる機能も搭載している。
フジテレビ番組表ガジェットは、10月1日より「ガジェットちゃんねる」から無料でダウンロード可能だ。
このように、Windowsサイドバーガジェットを使い、PCをテレビを融合させることで、新しいテレビ視聴を実現していくとしている。
また、PC+テレビ、インターネットサービス、携帯デバイスをつなぐものとしてWindowsがあると位置づける。Windows VistaとWindows Mobile、WindowsLiveを核にして、Windowsの価値を高めていきたい考えを示した。
新たな技術紹介として、テーブル型PC「Surface」を披露した。Surfaceはマウスやキーボードを必要とせず、すべてテーブルの画面をタッチすると操作できる新デバイスだ。米国ではすでにいくつかのホテルで導入実験が行われているが、日本では初公開となる。
開発は、米国(レッドモンド)、日本、北京のチームで行ったという。「日本でも親しめるインターフェース」と自信を見せる。
水面をイメージした画面に手を触れると、水面が動く。手だけでなく、紙でも同様で、画面に紙を落とすと、実際の水面に落としたように水面が揺れ動く精細さだ。
具体的には、「Music」「Photos」「Virtual concierge」の3つの機能があり、「Music」は日本が担当したという。机の上でCDを選ぶように、アートワークライブラリからアルバムを選び、曲をプレーヤーにドラッグ&ドロップすると再生する。
「Photos」は北京が開発したもので、机の上で写真を広げるように、写真を楽しめる。「Virtual concierge」は、現在の場所を地図で示し、その周辺のお店などを案内してくれるもの。地図は自由に手で拡大縮小ができ、広域にしていくと、最後には地球になる。地球に小さく「Here」と現在地が出てくる洒落たつくり。
なお、日本におけるサービス展開は未定だ。
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