航空機にはレコーダーが搭載されており、事故発生時にコクピット内の音声やフライトデータが記録されるため、捜査員らはそれらのデータから事故原因の究明が可能だ。
Microsoftは、ソフトウェア開発者らに同様の原因究明手段を提供しようとしている。同社の次期開発者向けツールスイート「Visual Studio 2010」は、テスターたちが実際に見ているフル画面と彼らが使用しているマシンのデータを記録する機能を搭載する計画だ。この機能があれば、万が一テストアプリケーションがクラッシュしても、開発者はバグ発生時の様子を見ることができる。
MicrosoftのDeveloper Division担当ディレクターDave Mendlen氏は、先週行われたインタビューの中でこの機能について語った。Mendlen氏によると、同機能の目的は、ソフトウェアテスターがバグを発見したが、開発者からそのバグは再生不可能と言われた場合に起こりがちな衝突を回避することにあるという。Microsoftの社内では、この機能は「デバッガー用TiVo」と呼ばれてきた。
この機能は当初、社内テスターのみを対象にしていたが、将来、より広範なテストやMicrosoftのベータ製品にも同様の機能が使用される可能性がある。「いずれ、われわれがこの方法でベータ管理を行うようになっても全く不思議ではない」とMendlen氏は語る。
Microsoftは、Visual Studio 2010 と.Net Framework 4.0に関するその他の詳細情報はあまり開示していない。しかし、クラウドベースサービスのサポートが改善されているのは間違いないだろう。Mendlen氏も「Visual Studioと.Net Frameworkで対処の必要がある分野であることは確かだ」とし、さらに「サービスベースの技術を提供する以上、当然それにも手を加える必要がある」と付け加えた。
またMicrosoftは、新たなモデリングツールについても語っている。同社によると、このツールがあれば、チームに新たに加わったプログラマーたちは、ソフトウェアの以前のバージョンの機能をより容易に理解可能だという。また、同ツールのその他の目的の1つとして、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの追加が挙げられる。このBIツールは、ダッシュボードやコクピットのようなもので、プロジェクトマネジャーは開発プロジェクトが順調に進んでいるか否かを評価できる。「実際に勘定を支払っている人が、事情をほとんど知らされていないケースはよくある」(Mendlen氏)
Microsoftは、Visual Studio 2010のその他の機能についてはあまり詳しく述べなかったが、同社が改善を検討している2〜3の広範な分野の概要を説明した。例としては、「クラウドコンピューティングを可能にする」や「画期的な部門アプリケーションへの注力」などが挙げられる。
Mendlen氏によると、同製品は2010年度(2010年6月まで)に発売予定だという。
「発売が2011年ではないことは確かだ」(同氏)
TiVoの概念をソフトウェア開発に導入しようとしている企業はMicrosoftだけではない。Replay Solutionsと呼ばれる企業も6月に企業用Javaアプリケーション向けに同様の製品を発売した。
Microsoft自身も2005年にすでに「ブラックボックス」機能という概念を使っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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