世界最大のフラッシュストレージカード製造企業SanDiskは、かつて、地上で最大級に時めいた技術企業だった。Lehman BrothersやMerrill Lynchといった企業がウォールストリートを闊歩していた頃のことだ。
しかし、昨今のSanDiskに数年前優良企業だった面影はない。消費需要が弱まりフラッシュメモリの価格が下落する中、SanDiskの株価は、その栄枯盛衰を映して、過去52週間の最高値である55.98ドルから、米国時間9月16日には終値が15.04ドルに急降下した。苦境にあるのはSanDiskだけではない。フラッシュメモリ製造企業上位7社のうち5社までが第2四半期の売り上げを落とすか、せいぜい横ばいだった。
そして、同日取引終了後、サムスン電子が以前からあった憶測を認めた。それによると、4カ月間に及ぶ話し合いが不調に終わったため、現金58億ドルでの一方的な買収提案をしたというのだ。SanDiskはこの提案を直ちに拒否した。
SanDiskの株は、その日の時間外取引でおよそ23ドルに急騰。SanDiskは声明を発表し、1株当たり26ドルの提案を拒否し、同社の価値を低く見積もりすぎていると主張した。交渉ごとではきわめて一般的な展開だ。しかし、SanDiskは株価の低迷に「つけ込んだ試み」だとサムスン電子を非難している。また、「サムスン電子と交渉中の特許クロスライセンス契約更新の不確実性や株式市場一般の状況」も指摘している。
提案拒否により、SanDiskは両社の事情を明るみに出すことにもなった。サムスン電子の提案は「計算された交渉術、つまり、両社間で進行中のライセンス交渉を有利にするための仕掛けではないか。この問題について2007年6月以来10回以上交渉を重ねてきたという事実を考えるととりわけそう思える」と示唆したのだ。
SanDiskは、サムスン電子との話し合いに門戸を閉じたわけではない。SanDiskのリードインディペンデントディレクターIrwin Federman氏は、今も「誠実な話し合い」に入ることを希望していると述べたが、それ以上具体的なことは明かさなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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