理論物理学者のStephen Hawking氏は、現在、まばたきでコンピュータや音声シンセサイザー(合成装置)を操作している。しかし、ある新技術を使えば、Hawking氏は目の代わりに舌を使って操作可能になる。
Hawking氏のような重度の障害を持つ人々が舌を動かすことによって車イスやコンピュータを操作できる技術をジョージア工科大学の研究グループが開発した。舌にピアスをすれば、この技術は利用できる。
この新技術は、Journal of Rehabilitation Research and Development誌の8月号で紹介された。同技術は、米粒ほどの大きさの磁石を使用する。その磁石をピアスのようにユーザーの舌に取り付ける。そして、磁気センサーが埋め込まれた歯列矯正用ブリッジやヘッドセットなどの関連装置が舌の動きを追跡し、それらの信号を無線で近くの携帯用コンピュータに送信する仕組みだ。
ユーザーは、右クリックなど6種類の舌の動きを設定でき、自分の舌をジョイスティックのように使ってコンピュータ画面上のカーソルを動かしたり、車イスの電源を入れることができる。
ジョージア工科大のエンジニアらは、「Tongue Drive System」と呼ばれるこの技術をさらに進化させ、いずれユーザーが歯をキーボードとして使えるようにしたいと考えている。同技術はまだ試作段階だ。
このプロジェクトの指揮をとるMaysam Ghovanloo氏によると、ジョージア工科大が手足ではなく舌に着目した理由は、舌の機能が脳神経を通じて脳によってコントロールされているためだという。脳神経は通常、重度の脊髄損傷や神経筋疾患でも損傷を免れる。
「また舌の動きは、速く、正確であり、思考、集中、努力もさほど必要ない」(Ghovanloo氏)
筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)を患っているHawking氏は、以前はハンドスイッチを使ってコンピュータ作動のシンセサイザーを操作していた。しかし、ここ数年、筋力の衰えが著しいことから、現在は赤外線タイプのまばたきスイッチを使用している。
ジョージア工科大は、これまでに米国立科学財団(NSF)から12万ドル、Christopher and Dana Reeve Foundationから15万ドルの助成金を受けている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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