KDDI、3年ぶり減益決算でも株価反転

 KDDIの株価は、7月22日引け後の2009年3月期第1四半期(2008年4〜6月)決算発表後、反転上昇の兆しをみせはじめている。同社の今後の業績と株価の動向について探った。

 22日発表の同社の第1四半期の連結決算は、売上高8705億円(前年同期比3.1%増)、営業利益1243億円(同11.7%減)、経常利益1248億円(同12.5%減)、純利益724億円(同12.2%減)と、第1四半期決算としては3年ぶりの減益となった。

 主力の携帯電話事業では、新規加入件数から解約数を差し引いた純増数が減少となったことなどから、この部門の連結営業利益は前年同期比8%減の1391億円にとどまった。第1四半期の携帯電話事業では、2008年1〜3月の期間に試用キャンペーンで販売したプリペイド式携帯電話の解約が予想を上回ったこともあり、電気通信事業者協会が7月7日に発表した6月の携帯電話契約数によると、新規契約から解約を差し引いた月間純増数でKDDI(au)が1万2000件と低調で、携帯電話キャリア4社中、5月の2位から最下位に転落した。また、4〜6月累計の純増数はマイナス3万4200件(前年同期はプラス52万1100件)となった。

 ただ、同社が6月10日からスタートした携帯電話端末の割賦販売が今後の収益にプラスに作用する可能性がある。割賦販売は契約者が携帯端末の代金を分割払いする一方で、メーカーへの支払は一括で先行して発生するため、財務面のキャッシュフロー(純現金収支)では一時的にマイナスとなる。しかし、一方でこれまで必要とされてきた代理店などに支払う販売奨励金などの営業費用が大幅に減少するため、利益水準上昇の可能性が高まる可能性もある。

 固定通信事業は、中部電力系通信事業者の中部テレコミュニュケーションを連結対象会社にしたことで、売上高は前年同期比17.4%増の2072億円と大幅増収となったものの、営業損益は148億円の赤字(前年同期は130億円の赤字)と赤字幅が拡大した。

 今回の決算発表では、期初予想の通期業績売上高3兆7000億円(前期比2.9%増)、営業利益4430億円(同10.6%増)、経常利益4400億円(同7.9%増)、純利益2500億円(同14.8%増)を据え置いた。

 KDDIの株価は、5月30日に73万2000円の高値を付けて以降ほぼ一本調子の下落トレンドを強いられ、今回の第1四半期決算の発表当日の22日(実際の決算発表は取引終了後)に57万5000円の安値をつけたものの、翌日23日から反転上昇の兆しをみせ、先週末25日の終値は60万3000円と60万円を超えてきている。これについて市場関係者は「第1四半期の決算は2ケタ減益となったものの、通期の業績を据え置いたこともあり、マイナス材料出尽くしとの見方が広がったようだ」としている。

 時価で試算した連結PERは10倍台と、東証1部上場全銘柄の平均PER16倍水準に比べて依然割安水準にあることは確か。当面は、6月18日につけた高値70万円に向けた上昇が期待できそうだ。

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