「iPhoneの影響はそれなりにあると見ている。ただ、(その影響の大きさが)どの程度かつかみかねている」――KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は7月22日、2009年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算発表の会場でこのように述べ、iPhoneが日本の携帯電話市場に与える影響について見極めている段階だとした。
iPhoneは7月11日にソフトバンクモバイルから発売されて以来、品薄が続いている状態だ。小野寺氏は「アップルに対する関心を持っている人がある程度の数存在し、そういった層がまず買っている」と分析。「それなりの台数が出ると思うが、iPhoneだけで日本の顧客が満足するかというと別の話だ。タッチパネルなどiPhoneに特徴的な部分に対して関心を持つ人はいるが、ワンセグやおサイフケータイといった機能がないことをどう顧客が判断するか」として、一般的に広く受け入れられるかは未知数だとした。
「それほど大きな影響は、現段階では出ていない。1台目端末なのか、2台目なのかも、まだ見極めがついていない」
ただし、iPhoneの端末としての魅力が、顧客の足を店頭に向かわせたことについては高く評価している様子だ。KDDIでは新プラットフォーム「KCP+」の開発の遅れなどが響き、第1四半期の販売台数が286万台と前年同期に比べておよそ67万台減少した。また、第1四半期の1台あたりの販売手数料は平均で4万5000円となり、前年同期から1万円上がっている。
「正直に言って、春商戦に出した端末が、お客様にとって魅力あるものではなかった。KCP+(の開発)が遅れたことで、全体的に端末の出荷が遅れた」と小野寺氏は苦戦の原因を分析。「iPhoneを見ていても分かる通り、端末に魅力があれば顧客は店頭に来る。これは今までと何も変わってない」(小野寺氏)とした。
第1四半期の営業収益(売上高)は前年同期比3.1%増の8705億円となったものの、携帯電話端末の販売手数料の増加などが響き営業利益は同11.7%減の1244億円にとどまっている。
iPhoneのような、スマートフォンと呼ばれるPCに近いOSを搭載した端末の販売計画については、「開発はしているが、市場が当初想定していた通り、あまり大きく伸びていない。こういう状況でどういった端末をどの時期に出していくか、検討している段階だ」と述べるにとどめた。
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