日経平均株価が1万3000円の攻防に追い込まれるなど、東京株式相場が深刻な下げに見舞われている中にあって、比較的堅調な値運びをみせているのがオリンパスだ。今後の業績と株価の動向を探った。
オリンパスは、前期の2008年3月期の連結営業利益が1126億円(前々期比14%増)と大幅増益になったことに対する反動減懸念や、円高進行への警戒感などにより、今期の2009年3月期の連結営業利益については950億円(前期比15.6%減)と大幅減益を見込んでいたが、第1四半期(2008年4〜6月)の業績は順調に推移した模様だ。第1四半期連結営業利益の中間期予想営業利益に対する進捗率が高い水準に達したものと予想される。
まず、主力部門である内視鏡を中心とした医療事業の今3月期通期の売上高について同社は、前期比13.2%増の4000億円を見込み、営業利益についても同1.6%増の1000億円(他部門で営業赤字を想定)を見込んでいる。国内では癌などの早期発見に貢献する特殊光観察が可能な内視鏡システムや、経鼻・経口挿入の両方に対応した上部消化管スコープなどの売上が好調なうえ、世界シェア70%超を占める同社の強みを生かして、米国や欧州をはじめ、オセアニア、中南米でも順調に販路を広げている。
さらに、デジタルカメラを中心とした映像部門の今3月期の通期業績見通しについて同社は、売上高3200億円(前期比0.2%減)、営業利益240億円(同27%減)と微減収、大幅減益としている。これは、前期の第1四半期のデジタルカメラの売上高が急増した反動減を見込んでいるためだ。しかし、実際はデジタル一眼レフカメラが好調に推移しているのに加え、コンパクトデジタルカメラも堅調なことから、映像部門については早くも上方修正の可能性がでてきている。
さらに、オリンパスは今期の想定為替レートを、1ドル=100円、1ユーロ=155円と想定している。ところが、実際の最近の外国為替市場でのレートは1ドル=107〜108円水準、1ユーロ=168〜169円水準となっており、もしこのまま現在の為替水準で推移するとすれば、少なく見積もっても連結営業利益で100億円程度の上方修正となりそうだ。したがって、想定した減益幅が大幅に縮小する可能性もある。
また、オリンパスは2010年3月期にも株式の投資単位を引き下げる方針だ。従来の1000株から100株にくくり直す。これは、同社株を1単位買う場合に必要な投資資金は、先週末7月11日終値の3400円で試算すると340万円(手数料などを除く)以上必要となるため、任天堂の600万円台、歌舞伎座の400万円台などと並んで、個人投資家が手掛け難い高額銘柄となっている。実際に同社株の個人投資家の持ち株比率は6%台に止まっている。こうした状態を解消し、個人投資家からの積極的な買いを呼び込む狙いで、投資単位の引き下げに踏み切るわけだ。
オリンパスの株価は、3月17日に2590円の安値をつけて以降ほぼ一貫して上昇トレンドをたどっている。最近全体相場が下落トレンドに転じる中でも75日移動平均を上回ったままで、上昇トレンドをキープしている。8月1日予定の第1四半期決算以降にかけて株価がジリ高歩調となり再び4000円台回復を目指すことも期待できそうだ。
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