グーグルのオープンソースは綱渡り--クリス・ディボナ氏インタビュー - (page 4)

文:Stephen Shankland 翻訳校正:石橋啓一郎2008年06月18日 08時00分

--Googleにはどのようなライセンスが望ましいのですか。

 われわれは一般にApache Licenseでリリースしています。具体的にはApache License 2.0です。われわれは、これがもっとも整ったライセンスだと考えています。GPLはパッチの手順やその他で多くの管理の手間を必要とし、このライセンスでプロジェクトを動かすだけの時間が取れないのです。Apache License 2.0は、使う人がそれを受け入れ、運用することを後押しするものです。これは、われわれがコードをリリースする時、人々にわれわれが本当に好んでいる技術を導入してもらう場合やAPIで目指していることです。とはいえ、われわれはGPLでも、LGPLでもGPLバージョン3でもBSDライセンスでもリリースしています。デフォルトがApache Licenseだということです。

--グーグルが重要なプロジェクトに関係することについては、どの程度援助していますか。

 われわれにはJeremy Allison氏やAndrew Morton氏などの人材がいますし、そしてGuido(van Rossom氏)も一定の時間関わっています。彼はGoogle App EngineとMondrianにかなりの時間取り組んでいます。われわれは、なるべくオープンソースを彼らの仕事の一部にし、彼らが使っているライブラリへのパッチを提供できるようにしようとしています。私はこの形態の方が、1つのオープンソースプロジェクトに取り組むことだけを仕事にする人材を置くよりも健全だと考えています。

--Googleは内部で多くのオープンソースを使っています。何らかの知的所有権に関する吟味や、利用する前のレビューを行っていますか。

 やっています。2つのやり方を取っています。誰かが外部からあるコードを持ち込みたい時には、オープンソースであれ、商用のものであれ、まずそれをわれわれが「サードパーティ」と呼ぶ社内の特別なディレクトリに置かなくてはなりません。その人は、そのソフトウェアはどこで入手したものか、ライセンスはどうなっているか、そのライセンスはどう分類されるかなどを説明する、readme.googleというファイルを置くことになっています。われわれは明快なものを求めています。知的財産の出所が怪しいプロジェクトもありますし、それらがどういうものか、それらを運営している人たちがどういう人かも知っていますから、それらは決して使わないようにしています。

 Googleは多くのソフトウェアを配布しているわけではないので、この作業はハードウェアやソフトウェアを出荷する企業よりは簡単です。Googleにはソフトウェアの配布を行っている状況が2つあります。Google Search Applianceと、一部のダウンロード可能なアプリケーションです。これらには少し特別な注意を払っています。同様に、Google Androidなどの大きなプロジェクトについては厳しい手続きを踏んでおり、2週間に一度集まってライセンスに関する状況が変わったかどうかを調べています。

 追跡モデルは非常にうまく働いています。われわれは、ビルドツールの中で一定の警告を出し、プログラムマネージャやリリースマネージャが、彼らがどのオープンソースソフトウェアを使っており、それに準拠するにはどうしなければならないかを知ることができるようにするツールを作りました。彼らのリリースが近くなると、われわれはミラーを設けます。

 これが、われわれが物事を追跡する第1の方法です。第2の方法は、Googleメンバーが修正を行う時は常に、われわれの製品であるCode Searchを使って、そのコードをインターネット上の知られているすべてのオープンソースのコードと比較するということです。これはこれから始めようとしているところです。われわれは、一般的なGoogleエンジニアが作った修正コードをコードのデータベースと比較し、一致する部分があるかどうかを調べます。一致した場合、われわれはそれを調べ、本当にコピーかどうかを確認します。もしそれがコピーであれば、正しいディレクトリに入っており、適切な表示がされていることを確認します。もしそうなっていなければエンジニアに連絡を取り、確実に適切な表示を行い、ライセンスが正しく処理されるようにします。

 このツールはまだ初期段階にあります。われわれはこれを自動化する方法を探ろうとしています。ただこれのよいところは、プログラムによって規模を大きくできることです。われわれのグループのゴールは、ビルドを壊したり開発を止めたりすることではありません。開発者ができるだけ多くのオープンソースを使えるようにすることなのです。そうすれば、彼らはそのコードではなく別のコードを書くことができます。

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