下げ続けるNTTデータ株--好業績見通しを背景に反転か

 NTTデータの業績は順調な推移をみせているものの、3月半ば以降の全般相場の反転上昇基調のなかにあっても、同社の株価は年初来安値を更新し続けている。その背景に何があるのか、今後の業績見通しと株価動向を探った。

 NTTデータが5月9日に発表した2008年3月期の連結決算は、売上高1兆744億円(前々期比2.8%増)、営業利益959億円(同6.3%増)、経常利益943億円(同10%増)、純利益304億円(同40%減)と2ケタの経常増益となったものの、純利益は大幅な減益を強いられた。

 日本郵政グループや大手銀行など金融機関向けのシステム開発受注が好調に推移したのに加え、社内システム構築のための費用が減少したことも寄与した。ただ、出向制度の見直しに伴って408億円の特別損失を計上するという特殊要因から純利益は大幅な減益となった。しかし、本業の業績は順調な推移をみせている。

 2009年3月期連結業績は、売上高1兆1200億円(前期比4.2%増)、営業利益1050億円(同9.5%増)、経常利益1010億円(同7.1%増)、純利益540億円(同77.3%増)と順調な増収増益予想で、前期特殊要因で大幅減益となった純利益も、今期は大幅増益を達成し、従来ペースの増益軌道に復帰する見通しだ。

 今期は中央官庁の投資予算縮小から公共向け受注の伸び悩みを見込んでいるものの、金融機関向けや一般事業会社向けは順調な拡大が予想される。さらに、この1月に欧州でドイツの情報サービス会社を買収するなど、海外企業のM&Aや海外子会社の設立を積極化してきたことから、海外での売上高は前期に比べて約3倍の600億円水準に急拡大する見通しだ。

 今期の事業部門別の売上高と営業利益について、会社側では次のように予想している。顧客の個別ニーズに合わせて、データ通信システムを開発し、その販売、賃貸、サービスの提供などを行うシステムインテグレーション事業の売上高は、8570億円(前期比2.6%増)、営業利益970億円(同7.5%増)。インターネットに代表されるコンピュータネットワークを基盤として、種々の情報提供、情報処理などのサービスを提供するネットワークシステムサービス事業の売上高は、770億円(同7.5%増)、営業利益60億円(同15.3%増)。データ通信システムのあり方に関連した企画および提案、メンテナンスなどを行っているその他事業の売上高は2820億円(同4.6%増)、営業利益230億円(同11%増)としている。

 日経平均株価は、3月17日の年初来安値1万1691円を底に反転上昇をみせ、6月6日の高値1万4601円まで25%の上昇をみせている。こうして全般相場が反転上昇軌道に復帰する中にあって、NTTデータの株価は2月25日の年初来高値51万1000円から一貫して下落トレンドにあり、先週末の6月13日には、一時39万7000円まで売り込まれ40万円の大台を割り込んだ。

 外国証券のアナリストは「2008年3月期の純利益が大幅減益となったことに対する懸念は残るものの、2009年3月期での急回復は会社側計画でも明確になっている。業績見通しや利益水準40万円水準は売られすぎ」としている。売り一巡感も出ており今後は反転上昇トレンドに転じ、中期的には50万円台を目指す展開も期待できそうだ。

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