さて、このような相対的な必要性の低さから立ち上がりが遅れた日本におけるデータマイニングも、インターネット環境の普及とともに状況が大きく変わりつつあります。
その変化とは以下のようなものです。
この2つの変化は、因果関係が複雑に絡み合っているので、完全に並列できるものではないですが、いずれにせよ、新しいトレンドの中で、企業は、効果の低下が確認されているマスマーケティングを補完するため、直接顧客とコミュニケーションをとることができる機会を最大限に活用しようとしはじめています。
しかし、そもそも、マスマーケティングの効果の低下には、顧客の多様化が背景にあるため、全員に同一のメッセージを発信していたのでは、本質的な解決には至りません。そこで、企業は膨大な顧客とのコンタクト履歴から各顧客の嗜好や特徴を推定して、それぞれに合わせた精緻なコミュニケーションを展開しなくてはなりません。
つまり、加速度的に増え続けるデータ量に比して、それを分析する人間の数と能力の増加は非常に限定的と言わざるを得ない状況下で、この急拡大するギャップの解消が、今、データマイニングに求められていることなのです。
そして、このような背景で求められるネット時代のデータマイニング技術の要件は、単純に膨大な容量のデータを解析するだけではなく、それを簡単に、速く、数多く処理することが必要です。
要件 | 求められる特徴 |
---|---|
大容量 | 加速度的に増え続けるデータを処理するため、何より大容量データを処理できる能力が必要です。大量のレコード数、大量の変数のデータに対応できる処理のキャパシティが求められます。 |
簡易性 | 従来よりも遥かに多くのユーザが、データから知見を得ることを求めているため、分析のツールは一部のアナリストだけが利用するものではなく、より簡単に誰もが使える簡易性が求められます。 |
自動化(システム化) | 継続的に、変化し続ける顧客を分析し、数多くの施策を展開するためには、最終的に、分析プロセス自体を自動化・システム化して、他システムとの連携を行うことが求められます。 |
次回は、このような時代の要請に応え始めている、代表的なデータマイニングツールのご紹介をしたいと思います。
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