NASAの火星探査機Phoenix、火星着陸に成功

文:Jonathan Skillings(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2008年05月26日 15時19分
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 米航空宇宙局(NASA)は、火星上の同局最新ハードウェアから発信された信号を検知したと発表した。どうやら、NASAの火星探査機Phoenixは予定通り火星に着陸したようだ。

 人類はこれまで、かつて火星で生命が存続可能であったのか否かを知るためにあらゆる努力をし、さらに、最終的に有人火星探査の実現を目指し、そのための準備を進めてきた。火星着陸機Phoenixはそうした取り組みが具現化された最も新しい形といえる。

 しかし、Phoenixは、火星の地表を探査する前に、まず火星の大気圏を突破しなければならなかった。数カ月間に及んだ長旅の最終段階である7分間の降下は、Phoenixにとって命取りになる可能性もあった。Phoenixの開発者らによると、同着陸機は着陸前に「7分間の恐怖」に直面したという。NASAによると、これまで数カ国の宇宙探査機が計11回にわたり火星への着陸を試みたが、成功例はわずか5件のみだという。

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火星の天候。Phoenixが着陸する数日前には、砂塵雲が着地点を通り過ぎていた。25日には、澄んだ天候での降下が見込まれていた
提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/MSSS

 Phoenixは、火星の薄い大気圏に突入し、地表に向かう際、3つの試練に直面した。1つは、大気との摩擦を利用した「エアロシェルブレーキング」だ。このブレーキングにより、機体は数千度まで加熱する。2つ目は、パラシュートの開傘だ。着陸機のパラシュートが勢いよく開き、同機の降下速度を減速させる。そして3つ目は、着陸の衝撃を和らげるための逆推進ロケットの発射だ。

 火星から発信された信号が地球に届くまで15分間かかるため、Phoenixは自律的に着陸するように設計された。そのため、宇宙管制センターでは、着陸の成功を知らせるデータを待つ間、不安の空気に包まれた。

 確認の信号が届いたのは、米太平洋夏時間5月25日午後5時前だった。

 着陸までの最後の数時間は、すべてが順調だった。

Phoenixが25日に撮影した火星の未加工画像
提供:NASA

 NASAでPhoenixの設定および情報管理担当エンジニアを務めるBrent Shockley氏は米国時間5月24日、「Phoenix Mars Lander」ブログで、「探査機のコンディションは良好だ。現在、探査チームは、今晩、最後の軌道修正を行う必要があるかどうかを中心的に検討している」と述べている。そしてNASAは25日、軌道修正は行わないと発表した。

 Phoenixは火星に接近中、非常に速いスピードで飛行していた。もっとも、どれほど速いかはその人の基準によって異なる。Shockley氏は23日に次のように記している。「現在、Phoenixは地球基準で時速7万5400マイルで飛行している」しかし、Phoenixは、太陽基準で時速4万4300マイル、火星基準では時速6090マイルで飛行する。

 NASAは25日正午、Phoenixが加速していることを明らかにした。「探査船のスピードは太平洋標準時午前8時30分に火星基準で時速6300マイルに上昇した。太平洋標準時午後12時30分には時速8500マイルに、火星の大気圏に突入する前には時速1万2000マイル上にまで上昇した」(NASA)

 Shockley氏は、Phoenixのエネルギー効率について自らのブログで次のように冗談を述べている。「ガソリンの値段が上昇しているが、Phoenixの燃費効率はガロンあたり約200万マイルなので優れている」

 Phoenixは火星の北極圏に居住する予定。Phoenixはそこで、岩や土で覆われた地表の下にある「水分が豊富な永久凍土層」を捜し出すことが見込まれている。火星探索機「Mars Odyssey」は2002年に、この地域に大量の地下水氷がある可能性を示唆していた。

 Phoenixは、8月に地球を出発してから宇宙を4億2200万マイル飛行し、現在地球から1億7000万マイル離れた火星にいる。

NASAのPhoenixが火星に向かい、着陸するイメージを描いた合成画像
提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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