本機に内蔵されているX-Y型ステレオマイクは、パーツの素材から吟味されているだけあって、非常に高音質。一般的なICレコーダーの内蔵ステレオマイクと比較して、明らかにノイズが少なく音の明瞭感を感じることができる。また、定位感にすぐれているため、ホールなどでの録音時も中抜けがなく、自然なバランスで録音できる。
ただし、設定によってはいまいち期待通りに録音できないこともある。とくに、入力レベルの変化が大きい場合は注意が必要。失敗を避けるには、録音対象に合わせて、あらかじめ設定をカスタマイズしておいた方がいい。
ちなみに、録音時にはイコライザーで音を調整することもできる。これは、楽器メーカーのヤマハの協力によって実現した機能とのこと。このほかにも、さまざまなチューニング機能が搭載されており、きめ細かく音を調整することができる。機能が豊富なため若干敷居が高い部分もあるが、メニュー内容が分かりやすいので取扱説明書に頼らなくてもほとんどの操作を行えるはずだ。
なお、本機にはセキュリティ対策に指紋センサが搭載されている。このセンサは、ポインティングデバイスとしての機能も併せ持っており、指をすべらせることでメニュー項目を選択したり、再生速度をコントロールしたりできる。スペースが小さいため、使いやすいとは言いづらい部分もあるが、録音中のボタン操作によるノイズを減らせるのはありがたい。
リニアPCMレコーダーとして見ると、本機は圧倒的なコンパクトさと使い勝手のよさ、コストパフォーマンスのよさが大きな魅力。ただし、16bit/48kHzまでしかサポートしていないなど、ライバル機に比べて見劣りする点もある。
そのため、とにかく高解像度で録音したいというユーザーには不向きだが、生録入門者には手頃なアイテムだと言えるだろう。大きさ的にICレコーダーとしてもギリギリ使えるため、ICレコーダーからのステップアップを考えているユーザーにはとくに目を向けてもらいたい製品である。
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