[レビュー]タイムドメインスピーカーでしか出せない音--BauXar「Marty101」 - (page 3)

堀江大輔(D☆FUNK)2008年05月23日 19時00分
日本MET
内容:デスクトップに置いても邪魔にならないコンパクトサイズかつ納得のできる高音質という2つの要望を叶えるスピーカーにはなかなか出会えない。小さいけれど明瞭な音再現をリアルに実現するタイムドメインスピーカーBauXarの「Marty101」は、2つの要望を満たしているのだろうか。

音の前後感を感じさせる音場はピカイチ

 ロックは苦手そうだったので、ジャズボーカルを聴くことにした。ハービー・ハンコックの「リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ」から「リヴァー」を聴いた。これはベストマッチ。左右にピアノがきれい大きく広がる。音の波が見えるようで気持ちいい。

 ボーカルも非常にキレイなので、気持ちよいところを聴かせるのがうまい。ボーカルとコーラスの前後感まで出してくる。分離感がいいので、どのような旋律を弾いているのかよく分かる。

 だだ、音色がどうしても薄くなる。木管が金管、スネアは打ち込み音、ギターはシンセサイザーで作ったような音質になってしまう。惜しい。音場は、このままで、音質そのものがよくなれば素晴らしいのに。打楽器系もスネアなどは打ち込みのような音に聞こえてしまう。最もそれぞれの楽器がキレイに分離していて聴きとりやすいからこそ、このようなところが特に耳についてしまうのだが……。

 クラッシックのスケール感はどのような再現になるのか気になり、ベートベンの5番を聴いた。カルロス・クライバー指揮のウィーンフィル。典型的な試聴曲だが、これが意外なほど心地よい。広い音場と空間を作り出してくる。このように空間を描き出すのはうまいのだが、どうしても低域の迫力は不足する。コンサートホールの一番奥で聞いているようで、音が前に迫って出てくる感じは出ない。コントラバスの弦の響きなど低域が聞こえてこないのも残念。

  • スピーカーは上部に設置。リスニングポジションを選ばない再生音が魅力だ

 アコースティックが合いそうなので、最後にエリック・クラプトンの「tears in heaven」。MTVのアンプラクドだが、このスピーカーにはとても合う。中央にクラプトンのボーカルとギター、右にリードギター。クラプトンのギターのところからボーカルが聴こえてくる。背後にドラム、コーラスの声が聞こえてくる。このサイズと価格で、音の前後感を出せるスピーカーは他には存在しないだろう。やはり音場感はピカイチだ。

 タイムドメインスピーカーでしか出せない明瞭な音は、どのソフトでも共通だ。上に向かってスピーカーがついているが、正面に座るとステレオ感が感じられ、離れていてもあまり音量が変わらない。これはタイムドメインならではの特性だろう。

 常にBGM的に音を流している人や、PCをジュークボックスのように使いたいという人にはぴったりかもしれない。だた、どうしても低音は弱いので、音場絶対重視でアコースティック中心に再生したい。そういう人に特におすすめのスピーカーだ。

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