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ソニーの株価ストップ高が意味すること

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 3月期決算上場企業の業績発表がピークを迎えた先週、東京株式市場に大きな異変が起きた。NTT、ソニーの日替わりでのストップ高、富士通のストップ高寸前までの急騰など、久しぶりに「主力ハイテク銘柄の復権」(市場関係者)を思わせるようなエネルギーを伴う集中物色が展開された。3月半ば以降の戻り相場のなかでも“相場のリード役不在”が懸念されていただけに、こうした代表銘柄の活況は市場参加者のマインドを一段と明るくした。

 この中でも特に、5月14日に2008年3月期の連結決算(米国会計基準)と2009年3月期の連結業績予想を明らかにしたソニーの株価が、翌日15日の東京株式市場で寄り付きから大量の買い物を集め、前日比ストップ高(500円高)の5350円まで買い進まれたことは、市場関係者に大きなインパクトを与えた。

 準大手証券の投資情報部では「ソニーのストップ高は、欧州やアジアからの資金も含めて外国人投資家の日本株買い復活の兆しといえる。これに追随し、個人投資家も打診買いを入れ始めたようだ。ただし、外需主力のハイテク株の株価が継続的に上昇するには、円相場が、1ドル=100〜105円水準に止まっていることが必須条件となる」と分析している。

 同社が14日に発表した2008年3月期の連結決算は、売上高が前期に比べ7%増の8兆8714億円、営業利益は同2倍強の3560億円と大幅に拡大した。そして、純利益は前期に比べて2.9倍の3694億円となり、10年ぶりに過去最高益を更新した。主力のエレクトロニクス部門で、デジタルカメラやパソコンの販売が好調に推移したうえに、これまで、全体業績の足を引っ張ってきたゲーム事業部門で、「PS3」の販売台数が前の期に比べ2.6倍の924万台、「PSP」も同46%増の1389万台とハードウェア販売の増加により、この部門の赤字幅が前期に比較して1000億円以上も減少したことが寄与した。

 2009年3月期の業績予想は、売上高9兆円(前期比1.4%増)、営業利益4500億円(同20.2%増)となる見通し。これにより、同社が継続してきた“構造改革”の中で大きな目標のひとつとしていた売上高営業利益率5%を、当初計画に比べ1年遅れながら達成することになる。これについて、同社の大根田伸行CFO(最高財務責任者)は「(売上高営業利益率の)5%はボトム」とコメントし、今後の中期的な利益の上積みに意欲をみせている。また、営業利益4500億円の内訳について会社側は公表していないものの、市場予想によると、エレクトロニクス2800億円、映画400億円、金融1000億円、その他300億円、ゲーム収支均衡程度となる見通しだ。

 今3月期の焦点は、液晶テレビを中心としたエレクトロニクス事業の成長とゲーム事業の採算改善だ。液晶テレビは世界ベースで前期比60%増の1700万台の販売を目指している。これまで手掛けてこなかった低価格モデルにも参入し、数量増加に伴うコストダウンとシェア拡大を狙う。ゲーム事業では「PS3」の販売台数を1000万台(前期実績は924万台)と計画しており、販売台数は伸び悩むものの、値下げなどは極力避けて利益確保を優先する方針を明確にしている。ハードとソフトを合わせたゲーム事業全体では、営業利益ベースでの黒字化を目指す。

 ソニーの株価は1月10日に年初来高値の6300円を付けた後、下落トレンドとなり、3月18日には一時、年初来安値3910円まで売り込まれる場面もあつた。4月半ばを迎えてようやく反転上昇の兆しを見せはじめ、今回の好決算、好業績予想を好感してようやく5000円台を回復してきた。しかし、連結PERは17倍水準と割高感はない。今後中期的には6000円台回復を目指した展開が期待できそうだ。

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