躍進する中国最大のビデオ共有サービス56.com--YouTubeと異なる強みと戦略

別井貴志(編集部)2008年05月16日 07時00分

 次世代YouTubeとも言われている企業が、中国の56.comだ。

 2005年4月に設立して以来、約3年でビデオ共有サービスとしてトップシェアに躍り出た。登録ユーザー数は4000万人以上で、ユニークユーザー数は1日当たり1200万人以上いる。また、1日当たりの動画アップロード数は10万本以上にのぼる。

 ビデオの公開や共有、視聴だけではなく、写真のスライドショーツールや高速なアップロードツール、ウェブカメラだけでユーザーが自分をアピールする映像を作成できるオンライン撮影アプリケーションなども用意されており、ユーザーのコミュニケーションも盛んだ。

 さらに、最近第2ラウンドのファイナンスを実施しベンチャーキャピタルなど金融、投資系企業だけではなく、米Adobe SystemsやDisney、日本の光通信グループやソネットなど事業会社からも資金を調達している。

 56.comのPresidentであるJay Chang氏に、急成長を遂げた背景や今後の戦略、中国のビデオサービス事情、規制など多岐にわたって聞いた。

--中国最大手にまで成長した要因は何だと考えてますか。

 もっとも核となるのは、創業メンバーが素人ではないことです。既に米国Nasdaqに上場しているNetEase(網易)という中国の巨大ポータルサイトがありますが、そこで実際に個人ユーザー向けのページやサービスをやっていた部門の人たちが一緒に独立して作った企業なのです。

 つまり、もともと中国最大級のポータルを動かすための技術や、どういったものがコンシューマーに受けるのかといったオペレーションや戦略などを理解した人たちが、その知識をビデオサービス分野に注いだのです。やはり、技術面に詳しい上に、コンシューマーテイストがわかっている人たちが始めたというところが、非常に大きい要因だと思います。

--どのようにサービスが広がっていったのでしょう。

 3年間急激な成長を続けたわけですが、これまでに56.comは一切マーケティングにお金を使っていません。競合の会社はかなりマーケティングにお金をかけていますが、すべて口コミとユーザーがサービスを受け入れてくれたことによっての、相乗効果だと考えられます。

 でも、56.comとしては、これで満足しているわけではなくて、自分たちの中ではまだ10段階のうちの1段階しかいっていないと思っていて、これからもっと向上していく余地はたくさんあると考えています。

 確かに、トラフィック量だけで見ると、中国ではビデオとは関係なくネットではナンバー1というサイトではあるのですが、トラフィック量だけではなくて収益率でもナンバー1の企業になれるように、今後いろいろ向上していかなければいけないと思っています。

--具体的な収益の状況はいかがですか。

 まだプライベートな企業なので財務状況は公開していません。もちろん、現時点ではまだ先行投資をしている段階です。ただ、2009年にはブレーク・イーブンにもっていきたいと考えていますし、計画では3年以内に株式を公開(IPO)する計画があります。

 56.comは、もともと営業に力を入れていなかったのですが、3カ月ぐらい前から経験のある営業チームを作り始めて、活動を積極化しています。

 もう1つ幸運だったのは、最大のライバルであったTudou.com(土豆網)が、つい最近政府のブラックリストに載ってしまいそれによって急速な広告主離れが起きて、広告主が我々のほうに流れてきています。現在はこうした相乗効果もあって、営業活動が非常に伸びています。

--中国での規制の話は後ほど聞きますが、ビデオ共有サイトの収益の柱はやはり広告ですか。

 今の質問に対する答えはイエスでもあり、ノーでもあります。例えば今中国で巨大なインターネットサービスをしている企業で、香港に株式を上場しているインスタントメッセンジャーを展開するQQというサービスがあります。彼らはもちろん広告でもかなり収入を上げていますが、それ以上にユーザーに直接課金できる付加価値のあるサービスを提供しています。

 そういった流れを見ていても、56.comももちろんビデオ共有サービスとしては広告が1つの柱になっていますが、今後はユーザーに直接課金できるユーザ課金のモデルをいろいろ考えていきたいと思っています。まだ、どういうサービスを導入するかという詳細は決めていませんが、広告以外にもそういった分野は今後の大きなトレンドになると思っています。

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