ドコモが持つ「1人負け」への危機感--ロゴ変更の裏にあるもの

永井美智子(編集部)2008年04月18日 19時54分
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 NTTドコモは4月18日、ブランドロゴを7月より変更すること、既存顧客重視の姿勢に転換することを発表した。なぜドコモはこの時期にブランドロゴを変更する必要があったのか。そして、今後どのような成長戦略を描いているのか。同日開かれた会見の様子から、ドコモの考えを見ていく。

通じなくなった“ドコモ流”

080418_docomo.jpg 新しいブランドロゴを披露する中村氏

 まずブランドロゴと経営戦略を刷新した背景には、携帯電話市場の飽和感と競争環境の激化に対する危機感がある。

 携帯電話は国内の契約者数が1億件を突破し、市場の伸び幅が小さくなっている。また、「ソフトバンクモバイルやイー・モバイルなどが参入して競争が激しくなった」(NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏)

 この結果として、市場拡大期には大きな効果があった“ドコモ流”のやり方が、通用しなくなっていた。ソフトバンクモバイルらの勢いに押され、3月末には市場シェアがついに50%を割り込んだ。

 「急拡大期には、目新しいものを好む顧客層が市場を牽引してきた。しかし現在はニーズが多様化している。これまでのドコモは技術志向で新しいものを作り、『こんなのができたから、使ってください』というものだった。しかし、現在は技術的差別化が難しい時代。端末のデザインやネットワークの品質、料金、顧客対応など、個別の顧客ニーズに対応していく必要がある」(中村氏)

 また、販売方法についても、端末を1円で売り、月々の通信料金でその赤字を回収するというモデルは、総務省の指導によってできなくなった。「奨励金を使って端末を安く売る時代は終わった」(中村氏)

番号ポータビリティで「社員全員が危機感」

 ドコモにとって特に大きかったのが、2006年10月に始まった番号ポータビリティ制度だ。契約する携帯電話事業者を変えても電話番号を変えずに済むこの制度は、ユーザーに対して、自分が契約している事業者について考えさせるきっかけとなった。

 「番号ポータビリティは我々に大きなインパクトを与えた。『ドコモの1人負け』と報道されたが、その通りだ。社員全員が危機感を持つ良いきっかけになった」(中村氏)

 こういった危機感を受けて、ドコモは2007年8月にコーポレートブランディング本部を設置。日本コカ・コーラ代表取締役会長の魚谷雅彦氏を特別顧問に迎え、企業ブランドの見直しを進めてきた。

 「ブランドの構築が企業価値の創造につながらなければならない。ブランドは企業経営そのものを反映する。ブランドの見直しをきっかけに経営全体の改革をしていく意思を確認した」(魚谷氏)

080418_docomo-slide.jpg 魚谷氏はブランド価値を構築することが、企業価値の増大につながらなければならないと指摘した
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