毎年のように起きていることだが、Microsoftが関係する訴訟の中で、同社の幹部らが交わしたいくつかの興味深い電子メールが明るみに出た。
Microsoftは、一部のPCに「Windows Vista Capable」というラベルを貼った2006年のプログラムをめぐり提訴されている。このプログラムは2007年1月のWindows Vistaの本格リリースに先駆けて実施された。この訴訟の証拠開示手続きの中で、Microsoftの幹部らが交わした多くの電子メールが公開された。幹部らは電子メールで、Vistaが発売時に抱えていたさまざまな問題について議論している。
あるメールでは、Steven Sinofsky氏がSteve Ballmer氏に対し、Vistaの当初の課題について3つの要因を挙げている。
Sinofsky氏は第1の要因として、「われわれが(Vistaを)出荷すると誰も信じていなかったため、(企業は)2006年末まで(Vistaへの対応作業に)着手しなかった」と述べている。Sinofsky氏はさらに、同氏が所有するBrotherの家庭用プリンタのVista用ドライバが手に入ったのは、Vistaの発売後だったと付け加えている。
またSinofsky氏は、第2の要因として、Vistaの音声や映像の扱い方が大幅に変更されたことが、特にXPからVistaにアップグレードしたユーザーを悩ます原因となったとしている。そして最後の要因は、多くのWindows XP用ドライバがVistaでは使えなかったことだという。Sinofsky氏は電子メールで、「これは、プリンタ、スキャナ、WAN、周辺機器(指紋読取装置、スマートカード、テレビチューナ)全般に言えることだ」とした上で、「このカテゴリ(の機器がVistaで利用できないの)は、関連アプレットの多くが、(Vistaの)セキュリティモデルや新しい映像、音声ドライバモデルの制約の中で実行できないためだ」と述べている。
Sinofsky氏は、Microsoft幹部のOrlando Ayala氏が、同氏が使用しているVerizonのモバイル無線カード用のVista用ドライバがないため、XPを使い続けていると指摘している。「Vista Readyロゴプログラムのために、(1月30日に)ドライバが利用できる状態にする必要があった。われわれは妥当な範囲(の機器)をカバーしていたと思うが、私も経験した通り、(ドライバの)品質はまちまちだった」(Sinofsky氏)
またSinofsky氏のメールには、Microsoftが、Intel製の特定の統合チップセットについて、Vistaに十分対応していないにも関わらず、Vista対応製品としてリストアップするようIntelから圧力をかけられていたことも記されている。
Sinofsky氏は、「Windows Aeroに対応していない『915』チップセットが膨大な数のノートPCに搭載されている。そのチップセットは『Vista Capable』となっているが、Vista Premium対応とは書かれていない」とした上で、「こうすることが正しかったかどうか分からない」と記している。
Sinofsky氏は、Microsoftのサポートラインに寄せられた苦情がさほど多くなかったことに驚きを示したが、それを顧客が満足している印とは受け取らなかったという。
「最近はユーザー支援機能が付いた新型PCも多く、また(パッケージ版Windowsを)購入したコンピュータに詳しいユーザーは何をすべきか分かっているので(サポートラインに)電話をしないのだろう。しかし、彼らもきっと苦労しているはずだ」(Sinofsky氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス