社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催の「第17回WABフォーラム」で2月26日、グーグル代表取締役社長の村上憲郎氏が「ネットの活用とグーグル」と題した基調講演を行った。
1993年に米スタンフォード大学の二人の学生によって創立されたGoogle。現在では検索エンジンだけでなく、ウェブメールサービス「Gmail」やオンライン地球儀アプリケーション「Google Earth」など、さまざまなサービスを展開している。
しかしながら、いずれのサービスも「世界中の情報を整理し、誰もがアクセスして、使えるようにする」という、Googleのミッションを軸に展開し続けていると村上氏は強調する。
また、Googleの競合であるYahooについて、「ネットを書籍でたとえると、目次を作ったのがYahooで、索引をつくったのがGoogle。あくまでインデックスをつくることに徹し、情報そのものを所有も占有もしない」と比較する。その一方で「いまだに(世界中の情報の)数%をインデックス化したにすぎず、いつもまだやり足りないことがあるという心づもりだ」と、今後もユーザーの利便性を第一に考えた新しいサービスの提供を図っていく意向が語られた。
一方、Googleの柱となる「検索」「アプリケーション」に加え、同社の財務を支える基盤は広告だ。広告に対するGoogleの考え方は、「広告もユーザーから見ると情報の一部。価値のあるかたちで提供されなければならない。広告も情報価値が高いコンテンツだ」と村上氏は説明する。
そんな中、Googleが広告主向け製品として提供しているのが「AdWords」と「YouTube」だ。なかでも「今後の広告は動画を無視できない」(村上氏)と語るように、YouTube上の広告展開はGoogleにとって今後注力していきたい広告媒体。「映像でしか伝わらない、商品・サービスのよさを、その商品・サービスに興味がありそうなユーザーに送り届ける」というのが、YouTube広告で実現したいというGoogleの意図であり、異なるプラットフォームであれ、情報を価値としてユーザーに提供するという同社の一貫した理念が存在する。
村上氏によると、広告媒体としてのYouTubeの位置づけは「動画を使ったコミュニケーションのプラットフォーム」だという。YouTube上の広告展開は、広告主が動画コミュニティーに参加し、動画を通した消費者とのコミュニケーションを図ることが可能となる。村上氏は、ユーザーが投稿した動画を使った企業のブランディング広告にも利用された実際の例として、Nestleのキャンペーンを紹介し、「YouTubeを動画を共有するだけでなく、インタラクティブな場を提供するメディアとして提供していきたい」と語った。
また、AdWordsとYouTubeの位置づけについて「広告を情報として整理し、広告主とユーザーとの適切な出会いを作るのがAdWords。これに対して、企業がユーザーコミュニティーの参加者として参加でき、ユーザーの力を借りてマーケティングコミュニケーションを行うことができるのがYouTube」だと説明。さらに「YouTube上の広告手法は未開発。つまりまだまだ可能性が残されているということ。AdWordsとYouTubeで新しい広告市場を展開していきたい」と続けた。
そのほか、日本においてはモバイルに注力していくことや、今後は情報家電への展開も追及していきたい意向が明らかにされた。また、検索のパーソナライズ化については「個人を特定して情報を収集するようなやり方は考えていない。プライバシーにかかわるかたちでのサービス展開は考えていない」と、プライバシー問題への懸念を否定した。
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