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心をまっすぐ伝えるカメラ「GR Digital」--お気に入りガジェットバトン第35回

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語っても語ってもまだまだ語れる

 敬愛する林信行さんからガジェットバトンを受け取ったとき、とっさに「GR Digitalじゃない方がいいかもしれませんね」とお答えした。GR Digitalに関しては過去2年以上にわたって、ブログ「shiology」で語り続けてきたため、いささか遠慮があったのだ。

 しかし、そうは言ってみたものの、では何を書こうか。ひとつをピックアップするのは非常に悩ましい。

 ここ1年間に入手して気に入っているガジェットはいくつかある。まずはレコーダー系の2つ。自分の演奏を録音するソニーのリニアPCMレコーダー「PCM-D50」と、自分の講義・講演を録音するサンヨーのデジタルボイスレコーダー「ICR-PS285RM」。

 次にMac系で3つ。ウェブもメールもスケジュールもアドレスもOKなアップルのiPod touch。打ち心地抜群なPFUのキーボード「Happy Hacking Keyboard Professional 2」(前モデル「Happy Hacking Keyboard Professional」も使っている)。そしていまこの執筆にも使っているアップルの超薄ノート型Mac「MacBook Air」。とくにMacBook Airの品位と使いやすさには感動を覚える。

 しかし冷静に考えてみると、いずれのガジェットよりも自分への密着度がはるかに高いモノが、他にある。語り始めたら10時間でも20時間でも語れる、というほど惚れ込んでいるモノ。そうだ。GR Digitalだ。やはりひとつ選ぶならこれだ!!

GR Digitalシリーズと到着したばかりのMacBook Air GR Digitalシリーズと到着したばかりのMacBook Air

高画質・高精細なGRレンズをデジタルで

高画質・高精細なGRレンズ 高画質・高精細なGRレンズ

 GR Digitalはリコーが世に送るコンパクトデジタルカメラだ。1996年に発売されたフィルムカメラの銘機リコーGR1の系譜を受け、「GR」の名を冠したデジタルカメラである。仕事でもプライベートでもGR1を愛用していた私は、「これのデジタル版が欲しい」と切望していたのだった。

 2005年10月21日、その願いがついに叶った。「GR Digital」の誕生である。

 当時カリフォルニアに住んでいた私は、発売2日後に日本から持ってきてもらい、翌日からパリで使い始めた。以来、2年間で約2万枚。常に私の目の延長、手の延長、心の延長として、心象風景をとらえ続けてくれている。

 そして2007年11月21日、後継機「GR Digital II」が発売された。こちらも肌身離さず使い続け、すでに1万枚近く撮影している。

 ここでは両者を含めて「GR Digital」と呼ぶことにしよう。

何がいいかって……。言葉では言い尽くせません!!

 GR Digitalを一言で表現すれば、「秀逸な操作性を持った堅牢なボディーに高品質なGRレンズを備え、高精細で味のある写真を撮れるカメラ」とでもいえようか。しかし、そんなかしこまった言葉はGR Digitalに似合わない。そもそもどんな言葉を使ったとしても、GR Digitalの魅力を伝えるのは難しい。

 たとえばGR Digitalが描く色。
渋い色、明るい色、浅い色、深い色。
あわい色、あざやかな色、かたい色、やわらかい色。
色彩を自在に操れる。

 たとえばGR Digitalの描写力。
におい、音、味、手触り、艶、色気まで描き出す。

 たとえばGR Digitalの表現力。
気持ちがストレートに絵になる心地よさ。

 たとえばGR Digitalの包容力。
撮影者と被写体とのコミュニケーションや人間関係をも写し込む。

「これぞ、カメラ」なのだ 「これぞ、カメラ」なのだ

 懐の深いカメラなのである。なぜそんなにも密度の濃い写真が撮れるのか。その理由はGR Digitalが備えるさまざまな資質の絶妙なバランスにある。大きさや重さは当然として、オートの正確さ、シャッタータイムラグの小ささ、MF(マニュアルフォーカス)モードの実用性など、すべての要素が高次元でバランスをとられているのだ。

 GR Digitalの資質のなかでも特に重要なポイントは、撮影領域の大きさ。レンズが明るいから暗いところでもきれいに写せるし、ブレにくい筐体だから1/2秒といったスローシャッターも手持ちで撮れる。

 さらに最短撮影距離が1.5cm。被写体を中心とする半径1.5cmの球より外側なら、どこからでも撮れるのだ。これは作画の自由度が格段に高いことを意味する。被写体に好きなだけ近づいて撮れるから、表現意図のはっきりした写真を撮れるのだ。

これぞ、カメラ

 カメラに求められる性能とは何だろう。画質のよさ、操作性、堅牢性、デザイン……。それらも確かに大切だ。実際GR Digitalはこれらの点も抜群に優れている。けれども、そういう目に見える「性能」より深層に、もっと大切なものがあると思う。

 なぜならカメラは表現の道具だからである。たとえば手紙や小説を表現する万年筆。ボールペンだってサインペンだって文字は書けるけれど、万年筆を選ぶ。自分の手になじんだ万年筆からぬめぬめと伸びる筆跡や筆記感を伴うと、自ずと納得のいく文章を表現できる。その「感触」が、自分の心の声を自然とダイレクトに形にしてくれるのだ。

 カメラも同じである。自分の心に描いた絵を、ダイレクトに形にしてくれる道具。心の光をまっすぐに絵として定着してくれる画材。私にとってその理想が、GR Digitalなのである。

塩澤一洋氏プロフィール

成蹊大学法学部准教授・政策研究大学院大学客員教授。専門は民法、知的財産法(とくに著作権法)。学問、教育、写真、Macなどについて、ブログ「shiology」を書き続けると同時に、毎回たくさんの写真を公開。月刊MacPeopleに「大公開時代の羅針盤」を連載中。


【使用製品】

リコー「GR Digital II」
リコー「GR Digital」


【購入時期】

GR Digital II:2007年11月22日
GR Digital:2005年10月23日


【お気に入り度合い】

携帯は忘れてもGR Digitalは持って出る。名刺入れさえもジャケットの左内ポケットの座を譲った密着度No.1の逸品。

【次回執筆者】

林 伸夫さん


【次回の執筆者にひとこと】

「私は、ほとんどGadgetって使わない人なんですが……」とおっしゃるものの、そういう人が使っているガジェットこそ、深い意味があるはず。彼がお書きになる記事は、実証をふまえた洞察に裏打ちされていて、含蓄に富む。そんな林さんにぜひ、ガジェットを語っていただきたいです。

【バトンRoundUp】

START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット) → 第18回:鈴木淳也氏(ノートPCモバイラーに必須のアイテム) → 第19回:小山安博氏(ライフスタイルを快適にするアイテム) → 第20回:海上忍氏(最強の“心理的防音ルーム”を実現するアイテム) → 第21回:大谷和利氏(古くなっても旧くならないデジタルカメラ) → 第22回:山路達也氏(ラジオを新たなメディアに進化させる「radio SHARK 2」) → 第23回:川野 剛 氏(あと10年は使いたい頑丈なデジカメ) → 第24回:野田幾子氏(面倒を楽しませてくれるウチの亭主) → 第25回:井上真花氏(デジタルだけどアナログのよさを持つ10年選手) → 第26回:安田理央氏(録音するならコレがいい!) → 第27回:とみさわ昭仁氏(コレが「僕の人喰い映画館」) → 第28回:米光一成氏(一度味わうとやめられない便利さ) → 第29回:小野憲史氏(小型で軽量、薄暗いところもシッカリと!) → 第30回:Jo Kubota氏(いつでもどこでも自作・分解するツール) → 第31回:唯野司氏(こよなく「DSテレビ」を愛す) → 第32回:平山美江氏(ハイビジョンレコーダーで動画を120%味わい尽くす) → 第33回:龍川優氏(メタボが怖けりゃ付けてひた歩け!) → 第34回:林 信行氏(自信を持って名機と呼べる携帯電話)

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