経済産業省は、温暖化対策の一環として、太陽光や風力発電など自然エネルギーのコストの一部を利用者が負担する「グリーン電力証書」の普及を促すため、個人向けの販売促進策や、取引ルールの指針をつくる方針を明らかにした。
グリーン電力証書は、割高な自然エネルギーと、通常の発電とのコストの差額分を「環境に優しい価値」があると位置付け、その価値を証書にして販売する仕組み。経産省は公的な指針の制定で、信頼性や認知度を高めて利用を促す。
審議会の小委員会を通じ、企業向けが中心の証書を小口に分割し、企業の商品・サービスに上乗せして販売する方策などを検討する。証書を認定する基準や、取引の透明性を確保するルールも議論する。
寄付金扱いになっている購入費用を、課税対象にならない「損金」に含めるよう、財務省に働き掛けることも課題。
グリーン電力を仲介する日本自然エネルギー(東京)によると、証書の価格は企業向け大口取引で1キロワット時当たり約4円。100万キロワット時を買うと、400トン程度の二酸化炭素(CO2)排出削減の換算になるという。
自然エネルギーは、日本のエネルギー供給の約6%にとどまる。政府は7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で、稚内市の太陽光発電所を利用したとみなすグリーン電力証書を購入する方針だ。
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【用語解説】グリーン電力証書
風力など自然エネルギーの発電実績を示した証書で、温室効果ガスを排出しない「環境付加価値」とみなす。証書の購入により、直接電力を買わなくても自然エネルギーを使ったとする。民間による取り組みとして2000年から始まった。06年度のグリーン電力証書の発電実績は、水力などを含めた自然エネルギー発電全体の1%にも満たない計算で、普及がほとんど進んでいない。
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