制御機器大手のオムロンが1月10日、長期経営構想「GD(グランドデザイン)2010」の第3ステージに当たる2008〜2010年度(3年間)の経営計画を発表した。
一方、株価は全体相場の下落基調に連動するかたちで先週末11日も2007年来安値を更新。一時、2460円まで売り込まれ、終値でも前日比25円安の2475円と低迷を続けている。
しかし、全体相場が落ち着きを取り戻せば、株価が再び反転上昇軌道に復帰することも十分期待できそうだ。同社の長期経営構想「GD2010」は、2001年4月からスタート。第1ステージを経て、現在第2ステージの最終年度に至っている。第1、第2ステージはほぼ順調に計画通りの増収増益基調で推移しており、2004年度末までの目標であったROE(自己資本利益率)10%は1年前倒しで達成した。
2008年度にスタートする第3ステージ経営計画は、「事業価値の平均10%以上向上」を中期目標に掲げている。さらに、既存事業ではセグメントごとに選択した中核事業を「グローバルNo.1へのポジションシフト戦略」(市場において事業価値が最も高い事業となることを目指す)によって強化し、加えて中華圏での投資回収および更なる成長により、収益力を高める。
また、第3ステージからは同社の強みであるセンシング&コントロール技術によって、10年以上先を見据え「安心・安全、健康、環境」に着目し、公器として社会に貢献するソーシャルニーズを創造する新規事業の創出と拡大に取り組む方針だ。
第3ステージの業績目標としては、売上高1兆円(2008年3月期予想7850億円)、営業利益950〜1000億円(同710億円予想)を想定し、売上高営業利益率10%(同9%予想)、1株利益260円(同201円予想)2010年までに収益を伴った成長の実現を目指す。2008年3月期の連結業績(米国会計基準)は売上高7850億円(前期比8.4%増)、営業利益710億円(同14.4%増)、税引き前利益710億円(同10.5%増)、純利益460億円(同20.2%増)と予想している。
会社側では、この第3ステージの目標を達成するために、既存事業(リレー、液晶バックライト、セーフティ機器、基板検査装置)の強化をはじめ、中華圏向け売上高の拡大(年平均20%以上の成長で、2008年3月期10億800万ドルを2010年3月期には18億ドルへの拡大を目指す)、新規事業(レーザー加工、MEMS、顔認識システム)の拡大などで達成可能としている。
一方、外国証券の電機担当のアナリストからは「サブプライム(信用度の低い顧客向け住宅)ローン問題の波及による世界経済減速懸念から、設備投資関連の制御機器や車載電子部品への需要低下の可能性があることも事実」と慎重な見方も出ている。
オムロンの株価は、2007年2月20日に昨年来高値3590円をつけて以降、とくに7月以降は全体相場の下落に連動して軟調な値運びを強いられ、2008年に入っても2007年11月につけた安値を更新して2500円台を割り込んできている。
しかし、2500円台を割り込むという現在の株価水準は、連結PERから見ても13倍台という割安水準にあるうえに、下値の堅い水準にまで到達しているという見方が多いことから、全体相場が落ち着きを取り戻せば、中期的には3000円台乗せに向けて反転上昇軌道に乗ることも十分期待できそうだ。
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