日本にブログを普及させた企業はどこかと問われたら、きっと誰もが「シックス・アパート」と答えるだろう。ブログシステムの先駆けである「Movable Type」や、多数の事業者にOEM提供しているブログホスティングサービス「TypePad」などを提供し、確実に国内でのブログ人口を増やしてきた。
2006年末にはSNSの要素を取り入れたサービス「Vox」をリリースした。Voxは公開範囲を詳細に設定できる仕組みでより安全にブログが書けて、さらにYouTubeなど外部メディアの情報を簡単に張りつけられる、やさしいブログサービスだ。
今後はこれらMovable Type、TypePad、Voxの3本柱を中心に、ユーザーIDの共通仕様「OpenID」や、Googleが提唱するSNS仕様「OpenSocial」など、オープン化の動きに対応しながら製品をブラッシュアップしていく方針だ。
ところで、ここまで紹介したとおり、シックス・アパートはまさにブログ一色の企業なだけに、そこに集まる人材も元々が“ブロガー”であることが多いという。
シックス・アパートの社員数は現在約40名。その内訳は、技術系が20人、マーケティング・営業が10人、管理が10人となっている。このうち実際に8割くらいの人は入社前からブログを書いていたという。
「初期の頃のメンバーをみると、皆いわゆるブロガーという人間ばかりで。当時はやっぱりブログを書いている人といえばエンジニアをはじめネット業界の人間が多かったですし、そういった中で人が集まってくるというのはありましたね。それこそブログを通じてその人を知ってるわけなので、どんな人なのか、どんな仕事をしてきたのかなどが見えるので結果的に採用に至る人数が多くなります」(シックス・アパート代表取締役 関信浩氏)
なかでも、ブログのつながりで人材が集まってくる傾向は、全社員の約半数を占める技術職に強い。
「現在の人員のうち8割〜9割くらいは元々シックス・アパートとなんらかのつながりがあった。こういう人を採用したいと社内にアナウンスすると、あの人がいいんじゃないかと社外から人を見つけてきてくれるケースが本当に多い。そのような場合は最初からスクリーニングされているので、ほとんどフィットしますね」
ただ、会社としてはじめからブログを書いている人を求めていたわけではない。では、なぜ採用した人物のほとんどがブロガーだったのだろうか。上記のような理由に加えて、関氏はブログを書いている人のコミュニケーション能力に注目すべきだとしている。ブログはコミュニケーションツールなのだ。
「外資系の会社であるため、米国とのやり取りや、会社のなかでプロフェッショナルな仕事で区切られているので、コミュニケーションがどうしても薄くなっていきます。そういうなかでブログをコミュニケーションツールとして使っているというのが、ある程度その人自身の判断材料になる」
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