それは、Robert Restaino判事が家庭内暴力に関する罪状認否手続きの通常業務をこなしていたニューヨーク州ナイアガラフォールズ市裁判所の通常の朝だった。そう、携帯電話の着信音が鳴り響くまでは。
同州の判事に対する苦情を受け付ける委員会「New York State Commission on Judicial Conduct」によれば、その後に続いたのは46人にのぼる被告人の拘留という「不可解な狂気の2時間」だったという。米国時間11月13日付けの痛烈な報告書で同委員会はRestaino判事の免職を勧告した。
同報告書によると「今、音の鳴った携帯電話の所有者はただちにそれを持って私のところに来たまえ。こなければ、全員が1週間の拘留ということもありうる。音を聞いたのは私だけだと言わないでもらいたい」と、2005年3月11日運命の朝、法廷でRestaino判事は告げたという。
「全員拘留だ。携帯電話がただちに私のもとに差し出されない限り、本法廷にいるすべての人間は拘留される。私が冗談を言っていると思うならば、これまでここにいた人々に聞いてみることだ。1人の例外もなく拘留だ」と、Restaino判事はさらに言った。
だれも名乗り出なかったため、その朝70件もの事件を扱う予定だったRestaino判事は、すでに各自の保証金で釈放されていた11人の被告人も呼び戻し追加の保釈金を言い渡した。同報告書によると、判事は総計46人の被告人を拘置するよう命令したという。最終的に彼らは留置場の混雑した「未決」監房に連れて行かれ、なかには2時間ほども留め置かれたものもいた。
Restaino判事は、電話を鳴らしたのは自分ではないとする被告人たちを長々と「叱責し」、名乗りでなかったことでその犯人を「自己保身に走った」と非難したのだが、「検察官、被告弁護人、裁判所員、カウンセリングプログラムの担当者といった、法廷にいた被告人以外の人物」に対しては、まったく問いかけなかったと報告書は記している。
被告人たちを拘留したことについて法的権限はなかったことを認めたRestaino判事に対して、委員会は「著しく前例のない司法権限の乱用」を犯したと結論付けた。しかし委員会メンバーの1人は、この事例が偶発的なもの、すなわち「1人の人間が職業人として費やした全人生の中でウイルス感染的な愚行に陥った2時間」だとして、譴責と完全な免職の間の処分をとりたい考えだと語っている。
同報告書によれば、Restaino判事は自分の行動が「私生活におけるある種のストレス」の結果のものだったとしている。
Restaino判事は決定に上訴する予定で、年収11万3900ドルの判事職への復職を求めていくと、AP通信は報じている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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