2007年上場の最有力銘柄か--フルスピード躍進の背景を読み解く

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 SEM(検索エンジンマーケティング)のフルスピードの人気が続いている。2007年8月に東証マザーズへ新規上場したばかりのニューフェース。上場当初こそ市場の評価はそれほど高くなかったが、新興市場で“最も強い銘柄”のひとつとして注目を集めている。

 フルスピードは8月2日に株式公開。初値は公開価格を62%上回る83万円だった。業態人気や市場からの吸収金額を考慮すると、想定範囲内のスタート。先日、公開価格比4倍でスタートしたNEO上場のユビキタスなどと比べると、それほど話題になっていたわけではない。

 フルスピードが市場で注目を集め始めたのは8月後半から。株価は8月20日に30万6000円まで売られたが、そこを基点にトレンドが転換。9月末に初値83万円を奪回したうえ、11月21日には177万円まで駆け上がった。

 フルスピード株は新興市場全般が軟調に推移した11月20日、新興4市場(東証マザーズ、大証ヘラクレス、ジャスダック、NEO)に上場するすべての銘柄の中で唯一、年初来高値を更新。改めて注目を集めた。今年株式公開した銘柄の中で、初値比2倍の水準をキープしている数少ない銘柄でもある。

 2007年、ここまで100銘柄以上が株式公開した中でなぜ、フルスピードだけがここまで人気を集めているのか。

 株式公開したばかりの銘柄は、オーナー社長などの経営陣が大半の株式を握っていることが多いほか、ロックアップ条項(株式が公開された後の一定期間、株主が市場で持株を売却することができないよう幹事証券と結ぶ契約)などにより、市場に出回る株券、いわゆる浮動株が少なく、値段が大きく動きやすい特徴がある。

 フルスピードは発行済み株式の76%を芳賀麻奈穂社長が保有しているなど、市場に流通しにくい株式が多く、想定以外の売り注文が出にくい株主構成となっている。

 ただ、直近上場銘柄は値が大きく動きやすいことから市場の地合い、投資家のマインドの変化に敏感に反応する特徴もある。新興市場が軟調に推移するなか、ほとんどの直近上場銘柄は、初値はもとより公開価格も大きく下回って推移している。

 フルスピードが主力とするSEMは、インターネット広告の中でも最も成長性の高い市場として、株式市場でも注目を集めている。SEO(検索エンジン最適化)市場は2006年、前年比24.4%成長し、2007年も同15%成長、2008年は12%成長と、2ケタ成長が続く見通しとなっている。市場規模は2008年に100億円を突破する見込みだ。

 市場成長を背景に、フルスピードの業績も高成長が継続。2008年7月期は連結売上高92億6500万円(前期比80%増)、経常利益13億円(同53%増)、最終利益7億2400万円(同52%増)を計画している。一部のアナリストはフルスピードについて「SEO、リスティング広告業界のリーディンググカンパニーになりえる存在」と高く評価する。

 株式市場が軟調に推移し、市場のエネルギーが縮小する中、フルスピードは需給構造から、また業績の成長期待を背景に、投資家から継続的に人気を集めている。

 時価に割安感は乏しくなっている。しかし市場関係者は、「特に業績面に不透明感の強い新興市場では積極的に物色できる有望銘柄は少ない」との声が多く、フルスピード株は今後も高値圏で堅調な推移が見込まれている。

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