なぜ検索エンジンマーケティングが注目されるのか - (page 2)

アウンコンサルティング2007年11月21日 11時20分

 実際、筆者自身もつい最近テレビを観ていて、番組の山場でCMに入り、そのあとCMが3〜4分も続いたので、さすがにチャンネルを変えてしまったという経験があります。その時には、テレビ局だけでなく、CMを流すスポンサー企業にも実際に悪印象を抱いたのを覚えています(その番組は1社提供の番組だったので、とあるメーカー企業のCMが延々と流れ続けていました)。

 検索の場合も同様で、検索ユーザーが意図しない情報を表示したとしても、それは企業にとってあまり好ましい結果は生み出さないでしょう。そして、その頻度が一定値を超えると、ユーザーは徐々に検索エンジンから離れていくのではないかとさえ思います。なぜなら、ユーザーは「自分の知りたいことをキーワードで投げかければ、検索エンジンが最適な情報の在り処をリストアップしてくれる」と期待して検索しています。

 それにも関わらず、検索結果に検索意図と一致しないものばかりが表示されるようになれば、検索エンジンは問い掛けるに値しない存在になってしまいます。それは人と人との関係に置き換えて考えてみるとわかりやすいかもしれません。

 ある人を信頼して質問してみたものの、期待した答えが得られないことが多い場合、質問をした人は徐々にその人に質問する頻度が少なくなるでしょう。

 このように考えると、検索エンジンマーケティングというものは、ある意味ではユーザーと検索エンジンの信頼関係の上に成り立っているマーケティング手法だと言えるかもしれません。検索ビジネスに携わっていると、「Googleが好き」、「Yahoo!の方がいい」という話をよく聞きますが、それこそどちらを信頼しているか、という話と同じようなものです。

 つまり、検索エンジンマーケティングを行なう際には、いかに検索結果が消費者を満足されられるものになるかも考えなければ、せっかく利益をもたらしてくれる消費者が信頼して集まっている検索エンジンという舞台から消費者が去っていくことになってしまいます。

 それは、おそらく検索業界にいる人間ばかりではなく、検索エンジンが生活に役立つと感じていた消費者にとっても、その行動を捉えて自社の収益につなげたいと考える企業にとっても決して望ましいこととはいえないでしょう。

 検索エンジンマーケティングといっても、直接的な利益は検索エンジンがもたらしてくれるわけではなく、生身の人間である消費者によってのみもたらされるということを忘れてはならないでしょう。

 経営学の大家として知られる故P.F.ドラッカー氏は、「組織の内部にはコストセンターしかない。唯一のプロフィットセンターは顧客である」という名言を残しています。これと同様に、検索エンジンマーケティングの本質を理解しないと、さも「上位表示で収益アップ」というように、検索エンジンが収益を生み出してくれるような錯覚を抱いてしまします。

 あくまでも検索エンジンマーケティングは消費者の行動変化によって誕生したマーケティング手法なので、一時の流行で終わらせるのは簡単なことです。それは、検索エンジンを使わないという消費者の更なる行動変化を起こせばいいだけです。

 果たしてそんなことを望んでいる人がどれだけいるのかは疑問ですが、検索エンジンマーケティングが企業にとって収益を上げる効果の高いマーケティング手法であり続けるために、それに関わる我々や企業担当者が、消費者を見据えるという1点だけは見失わないでいるべきなのだと思います。

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