リアルの世界に生きる人は、ウェブ時代をどう生きたらいいのか--梅田望夫氏講演:前編 - (page 3)

永井美智子(編集部)2007年11月16日 18時32分

老若男女に影響を及ぼす、ウェブという存在

 「ウェブ進化論」は、「ウェブってこうなってる」と世の中に伝えたい、というのが頭で読む人のための部分。心の部分で誰に届けたいかというと、ネット時代を切り開いていく最先端の若い人たち。中学生とか高校生とかネットベンチャーでがんばっている人とか、エッジが効いた最先端の人に「がんばれば自分たちもできるかもよ」と伝えたかった。こういうことを日本で言う人は少ないから。心はRest of usではなく、先頭で走っている人に込めた。

 今度の本はネットベンチャーの人でもITエンジニアでもなく、残りの人たち全部に向けたもの。ウェブは老若男女全ての人に影響を及ぼす。そういう人たちがウェブの時代にどう生きるか。

 「ウェブ進化論」ではバーチャル経済圏の話とかGoogleの話とかをしていたから、続編だとそういうのがいっぱい書かれているだろうと頭で読む人は期待するんだけど、でもRest of usからしてみればそんなものは関係ない。

 ほとんどの人はリアルの中で、しがらみの中で生きていて、道具としてウェブがある。そういう目線で、ウェブ時代ってどういう意味があるのかを考えていくものにしたかった。

 「ウェブ時代をゆく」というタイトルは、気づいた人もいるかもしれないけど、司馬遼太郎の小説から取ってます。

 タイトルは3カ月くらいかけて考えました。まず、「ウェブ●●論」でいくかというのを当然考える。ウェブ幸福論とかウェブ人生論とか(笑)。でも。そうじゃないな、となった。

 ウェブ進化論が出てからウェブ関連の本がいっぱい出ていて、もう皆飽きてますよね。だから、逆に「ウェブ」をタイトルに付けるか悩みました。働き方とか生き方に関する内容だから、「ウェブ」を取ってしまってもいい。けれども最終的には入れようと思いました。

 ただ、いいタイトルが思いつかない。そういうときは本棚へ向かいます。困ったときには本棚に向かうというのが僕の人生のやりかたですから。

 どの本も、1冊1冊タイトルだって悩んで付けてる。だから、本棚を見れば真似できるタイトルがあるんじないかと思って。江藤淳の「漱石とその時代」という本を見て、「ウェブとその時代」はどうかな、とか(笑)

 僕の本棚には司馬遼太郎コーナーがあって、そこを見ると「竜馬がゆく」「街道をゆく」とある。これいいかも、って思って、編集者と相談して、「1行で入りますね」とか話して。

 最後にGoogleで検索して決めました。本のタイトルは、Googleで空いてないといけない。「ウェブ進化論」も、それまでそういう言葉がなかったから、タイトルを考えていたときには500件くらいしか検索結果がなかった。本が出れば、そのキーワードの検索結果を全部この本関連のもので埋め尽くせる。だから、タイトルを決めるときにはGoogleに聞かないと決められないんです。

 日本語では「行く」と書くことが多くて、「ゆく」と書くのは司馬遼太郎くらい。「ウェブ時代をゆく」もかぶっているものがなかったので、これでいこうと。「ゆく」という表記がないから、司馬遼太郎を真似したってすぐ分かっちゃうんですけどね(笑)

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