ウェブブランディングにおけるブランドイメージ - (page 2)

榛沢明浩(日本ブランド戦略研究所)2007年11月14日 11時02分

測定方法

 【ブランド論における基本指標】

 よく行われているのは、ブランドの連想がどのように広がっているかを調べるため、さまざまなイメージ項目によってブランドを評価する方法である。評価対象によっては、第三者機関が定期的に行うイメージ調査を利用することができる。たとえば日経新聞の「企業イメージ調査」では企業認知度、好感度などの主要指標のほか、「顧客ニーズへの対応に熱心」、「よい広告活動をしている」、「親しみやすい」など25〜30程度のイメージについて企業ブランドを評価している。

 【認知者と非認知者の差を取る効果測定】

 上記のような基本指標では当該ブランドの現状を把握することはできるが、個々の広告キャンペーンの成果を測ることは難しい。

 そこで、効果測定のために、広告認知度、広告好感度を調べたり、広告接触者と非接触者でイメージの差を比較するなどの方法が用いられる。

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 【ウェブブランドにおける方法】

 ウェブサイトの分析として便利なのはやはりアクセスログ解析である。指標としては一人当たりのPVや滞在時間が用いられることが多い。多くのページを閲覧している人ほど満足度が高いと推定される。

 自社サイトの分析としては非常に有効だが、ユーザーが実際どのように考えているかはやはり直接尋ねた方がよくわかる。自社サイトであれば来訪者アンケートが行えるが、他者との比較を行いたい場合は第三者評価を利用することになる。

 ウェブサイトでも、企業ブランド調査と同様、イメージ調査が行われている。注意すべき点として、ウェブサイトのブランド力を示す指標のかなりの部分に、その企業のブランドイメージが反映されていることが挙げられる。

 接触者と非接触者の差を測る効果測定においても、テレビという圧倒的なリーチを誇るメディアがある中で、いかにノイズを排除しウェブサイトの純粋な効果を把握するかが大きな課題となる。

事例

 【密度の高いブランド体験ができる体験型コンテンツ】

 動画を用いたコンテンツは訴求力が高いが、単に動画を始めから終わりまで再生、視聴するだけだと、ユーザーは一方的に情報を受け取るだけとなってしまい、途中で再生をやめてしまうかもしれない。

 体験型コンテンツには動画を用いたものが多いが、インタラクティブな要素を取り入れることによってユーザーが能動的にブランドを体験できるようになっている。

 ソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」のサイトにには動画を効果的に用いたさまざまなスペシャルコンテンツが用意されている。

 たとえば、「ダブルでブレないを体験しよう」というコンテンツでは、「手ブレ補正」と「高感度」によって被写体ブレを防げる効果を、実際に動いている対象を見ながら自分でカメラのシャッターを押すシミュレーションをして体験することができる。

 このようなコンテンツを通じて、動く被写体に強いというブランドイメージが効果的に訴求されている。

 【ユーザー参加型コンテンツ】

 ユーザー参加型コンテンツは、コメントや投票などによってユーザーが参加する形式のコンテンツである。製品の使用体験を投稿し、これから購入しようとする人の参考にしてもらうものや、利用方法を共有してユーザーがお互いに役立てようとするものなどが典型的なパターンである。

 たとえば、auの製品ラインナップでは、製品のカタログ情報のほか、「auケータイ探検隊」という特集が機種ごとに掲載されている。その中のコンテンツの一つにユーザーのコメントを掲載するコーナーがある。

 ユーザーの声は良い点だけでなく、「操作しにくい」とか「カメラの画質が今ひとつ」などの欠点の指摘もそのまま掲載されているのだが、このような姿勢はむしろ信頼感の醸成に役立っていると考えられる。

おわりに

 ブランド体験の質ではウェブサイトは製品やサービスを実際に体験することには及ばない。しかし、ウェブサイトがない場合と比べはるかに多くの人にメッセージを届けることが可能となり、それが実体験の大きな動機付けとなっている。クロスメディアではマスメディアからウェブサイトへの誘導に注目が集まりがちだが、ウェブサイトから他のブランド体験への橋渡しという側面にも留意することが重要である。

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