東証1部の全体相場が日経平均株価で年初来安値水準となるなど、下落傾向を加速させる中で日立ソフトウェアエンジニアリングの株価が反転上昇し、逆行高の様相を強めている。業績好調の背景と今後の動向を探った。
日立ソフトが10月29日に発表した2008年3月期の9月中間期の連結決算は、売上高813億円(前年同期比7.7%増)、営業利益60億円(同75.4%増)、経常利益44億2400万円(同61.5%増)、最終損益は10億5400万円の赤字(前年同期は13億6500万円の黒字)となった。最終損益が赤字となったのは、同社の関連会社であるアイネスの業績悪化などによる、特別損失(アイネスののれん相当額の未償却残高28億8200万円を一括償却)が発生したことによる。
9月中間期の営業利益、経常利益が大幅な増加となったのは、利益率の低い情報処理機器の減少を、主力のシステム開発をけん引役としたソフトウェアサービス事業の拡大でカバーしたことで、利益が大幅に向上したためだ。特に、システムの統合や再構築を行っている銀行、生損保、証券などの金融機関向けや、カーナビゲーションや情報家電向けの組み込みソフトの開発が好調な推移をみせた。
また、サービス事業では、自社開発の情報漏えい防止ソフト「秘文」、地図情報(GIS)ソフトが官公庁や電力会社向けなどに好調な推移をみせている。さらに、情報処理機器事業では自社開発の指静脈認証システム「静紋(ジョウモン)」、やインタラクティブ(双方向)電子ボードが国際事業の戦略製品として拡販に努め、欧州・ロシアなどで好調な販売実績をみせた。
この上半期の好調な実績を受けて、同社は9月中間期の決算発表と同時に2008年3月期の連結業績の業績上方修正を明らかにした。売上高は従来予想の1800億円(前期比7.1%増)に据え置いたものの、営業利益は従来予想の115億円から123億円(同36.3%増)へ、経常利益を同98億円から106億円(同30.7%増)、純利益も同20億円から26億円(同24.6%減)と、営業利益と経常利益は増額となる見通しだ。
今後は、売上の増加、減価低減などによるシステム開発の粗利益改善などにより、中期計画である2008年度に売上高1800億円、営業利益率8%をクリアし、続いて2010年度に売上高2000億円、営業利益率10%を達成するという目標は十分達成できることになりそうだ。
日立ソフトの株価は、5月9日に年初来高値の3010円をつけて以降、長期間にわたって下落トレンドを強いられ、10月25日には年初来安値をつけていた。それが、同29日の好調な9月中間決算の発表および2008年3月期通期の業績上方修正をきっかけに株価が反転上昇に転じ、11月6日には2360円まで買い進まれるなど上昇トレンドを鮮明にしてきた。
すでに、連結PERは50倍を超えるなど指標面での割安感はないものの、今回の会社側の上方修正した業績予想が最終的にはさらに上方修正する可能性が高いことから、中・長期的には株価3000円台乗せを目指すことになりそうだ。
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