「Software as a Service(SaaS)」という用語はよく知られている。SaaSという用語は、あるカンファレンスで2005年に作られたもので、その後Salesforceの「ノーソフトウェア」というモットーで有名になった。現在はGoogleがこのアプローチの最も強力な推進者であり、Gmail、Google Reader、Google Docsなどの製品を提供している。Bill Gates氏の有名な2005年11月のインターネットサービスメモ以来、Microsoftもこのコンセプトを推進している。
しかし今では、これに似た新しい用語である「Hardware as a Service(HaaS)」という言葉が登場している(HaaSという用語を作ったのはNick Carr氏で、2006年の3月に初めて使われている)。ハードウェアはこれまでも専用サーバホスティングプロバイダを通じてサービスとして提供されているが、AmazonがEC2で導入したS3ほど高度に抽象化されたものはなかった。専用サーバホスティングでは、ユーザーはスケーラビリティなどの面倒なハードウェアに関する問題に対処する必要があった。しかし、Amazonはこの面倒を完全に取り除いた。つまり、EC2-S3の関係と専用・仮想サーバホスティングの関係は、SaaSとASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の関係と似ており、EC2-S3は専用あるいは仮想的なサーバホスティングサービスが進化したものだ。
まず、もし読者がS3とEC2についてまだ知らないのであれば、このトピックに関する過去のRWWの記事を読むことをお勧めする。Alex IskoldがS3とEC2に関するとてもよい紹介記事を書いている。また、Alexの書いた、ETechでのAmazonの最高技術責任者(CTO)Warner Vogels氏の講演に関する記事も参照するとよい。それから、Amazonの公式ウェブサイトにも素晴らしい記事がある。
では、HaaSとは何だろうか。Google Adsenseと比較してみるとよいだろう。2000年のはじめ、Googleはウェブサイトのオーナーが自分のコンテンツから収入を得ることを可能にした。Googleは個人から巨大なメディア企業まで、誰にでもうまく機能するく公平な価格決定モデルを導入した。その結果、一部の人がGoogle AdSenseで小銭を稼ぐ一方、一部の人は一カ月間に何百万ドルも稼いでいる。
言い換えると、Googleはウェブビジネスの収益面を断片化し、万人に提供したと言うことだ。しかし、ウェブビジネスの費用面では、長い間同じ状況が続いていた。非効率が続いており、誰もそこに手を付けていなかった。VMWareが初めて商用化した仮想化技術は状況を若干変え、ハードウェアの価格を下げた。しかし、それでも状況はほとんど変わらなかった。情報発信側は依然として自分が使わない資源にお金を払い、面倒なメンテナンスを行う必要があった。
AmazonがEC2とS3でやろうとしているのは、ウェブビジネスの費用面を断片化することだ。情報発信側はもはや、スケーラビリティについて思い悩む必要はない。使った分だけを払えばいいのだ。言い換えれば、資源をこれまでよりはるかに効率的に割り当てることができるようになる。以下の図で示すように、これはGoogle AdSenseで起こったことと同じだ。
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